トランプ氏のパリ協定離脱表明は当然
太陽の昇る国へ□幸福実現党党首・釈量子
--築地市場の移転をめぐり、小池百合子都知事が豊洲に移転するとともに築地を再開発する考えを示しました
わが党は豊洲への早期移転を求めてきました。安全上、豊洲市場に問題はないにも関わらず、「法的には安全だが安心とはいえない」として、小池知事は混乱を招いてきました。その判断の誤りにより莫大(ばくだい)なコストや風評被害をもたらした責任を認め、都民や関係者に謝罪すべきです。小池知事の方針は、豊洲と築地への二重投資であり、賛成派、反対派の顔色をうかがった、選挙目当ての対応だとみなさざるを得ません。追加対策による更なる税金の無駄遣いも止めるべきです。「汚染の無害化」という意味のない開場条件は撤回し、豊洲移転を速やかに行うよう強く求めます。
--さて、今月1日、トランプ米大統領が、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明しました
米国内外から強い批判の声が上がっていますが、私たち幸福実現党はトランプ氏の決断を支持します。人為的な温室効果ガスの排出が地球の気温上昇の主な原因であるとする仮説には大きな不確実性があります。二酸化炭素(CO2)を悪玉とみなし、その削減のためにあらゆる政策を総動員する、いわば“炭素全体主義”が蔓延(まんえん)するなかにあって、私たちは一貫して、現行の地球温暖化政策は抜本的に見直すべきだと訴えてきました。また、パリ協定は国際衡平性が担保されているとは言い難く、日本にとっては経済成長の大きな阻害要因となることから、米国の脱退など情勢変化に応じて脱退すべきだと主張してきたところです。
--トランプ氏はパリ協定が米経済に打撃を与える旨述べています
トランプ氏はパリ協定を順守すれば、2025年までに270万人の雇用が失われ、40年までには国内総生産(GDP)で3兆ドルを失うなどとし、米国に不公平とする一方で、中国などを利すると指摘しましたが、その主張は正鵠(せいこく)を射たものと思います。
パリ協定は途上国も含め、すべての国の温室効果ガス削減への取り組みを定めた枠組みではありますが、実際、各国の削減目標達成の難易度には大きな差があるのが実情です。米国や日本などは「排出量」の基準年比削減率を目標値として掲げるため、経済成長の抑制につながる可能性があります。一方、世界一の温室効果ガス排出国である中国は、「GDP当たり排出量」の基準年比削減率を目標値として定めているため、2030年頃まで排出量を増やし、石炭火力発電所の建設などを推し進めることも可能です。排出削減のための負担の観点から見て、同協定の不公平性は誰の目にも明らかです。
--日本の取るべき態度については
パリ協定からの離脱には3年以上を要するため、米国が親条約である「国連気候変動枠組み条約」から離脱する可能性も取り沙汰されています。いずれにせよ、今回の離脱表明はもとより、トランプ氏はすでにオバマ前大統領が導入した温暖化対策の全面的な見直しを命じた大統領令に署名していることから、米国が経済成長と安全保障を重視した政策にシフトしていくのは確実とみられます。今後、中国とEUが影響力を拡大するであろうパリ協定に日本が残留するならば、その結果、日本だけが大きな制約を課され、国益を大きく損なう危惧があります。
日本政府は米国による離脱表明を「残念だ」などとする声明を出していますし、山本公一環境相は米国を「説得したい」と述べていますが、政府には、同盟国として米国の外交上の立場を支持するよう求めます。併せて、日本としてもパリ協定からの離脱や削減目標の大幅緩和、さらには同協定を踏まえた「地球温暖化対策計画」の撤回など、産業をしっかりと守り、国益を確保するための政策転換を図るべきだと思います。
エネルギーに関する不合理な規制を撤廃し、日本の経済社会を自由で活力あふれるものとするとともに、エネルギーコスト低減を通じて製造業の国内回帰を促し、雇用の確保と所得増大を図るべきだというのが、わが党の考えです。政府はCO2の排出に価格付けを行い、その排出削減を促進する「カーボンプライシング」を導入しようとしていますが、これは大型炭素税や国内排出量取引などにつながり、日本経済に悪影響を及ぼしかねないため、わが党は反対であることを付言します。
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【プロフィル】釈量子
しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。
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