山本農水相が欧州委員と電話会談、チーズ関税の削減で「準備期間」要求 EU側責任者は30日にも来日へ

日欧EPA
欧州連合のホーガン欧州委員との電話会談後、記者団の取材に応じる山本有二農林水産相=27日、東京都千代田区の農水省(高木克聡撮影)

 山本有二農林水産相は27日、欧州連合(EU)のホーガン欧州委員(農業・農村開発担当)と電話会談し、経済連携協定(EPA)交渉でEU側がこだわるチーズの関税撤廃・削減をめぐり、国内の生産者が対応できるよう十分な準備期間を設定するなどの譲歩を求めた。30日にもEU側の責任者であるマルムストローム欧州委員(通商担当)が来日する見通しで、交渉は最終局面を迎える。

 「創意工夫を生かしたチーズを作る若い農業者の出ばなをくじかないよう日本側の要求をのんでほしい」

 山本氏は会談後、記者団に全てのチーズ関税の原則撤廃を求めるEU側に対し、こう説明して理解を求めたことを明らかにした。

 ホーガン氏は「若い農業者を支援するのは大変良いことだ」と答えたという。

 EPA交渉では、日本のチーズ関税について品目を細分化し、国内産と競合が少ないものは一部で撤廃や引き下げに応じる方向だ。

 山本氏は「関税を削減する方向で考えている」と認めつつ、「畜産、酪農はすべてにおいて欧州に一日の長がある。対等に戦うには準備期間が必要だ」と述べ、即時実施には応じられないとの考えを強調した。

 一方、全国農業協同組合中央会(JA全中)は27日、東京都内でEPA交渉に関する与党議員との対話集会を開催。北海道の生産者は「EU産のチーズや豚肉、ワインなどは品質や安全性が高くブランド力がある。関税を下げれば市場を占領し国産の需要喪失を招く」と悲痛な声を上げた。

 EPA交渉では、日本が重視するEUの自動車関税(10%)撤廃の見返りに、どこまで農産物の市場開放に応じるかが焦点だ。JA全中の奥野長衛会長は「工業製品のために農業が犠牲になるパターンはもうやめてほしい」と強く訴えた。

 日欧は7月6日にも開く首脳会談でEPAに大枠合意する方向で調整する。岸田文雄外相はマルムストローム氏との閣僚会談で関税分野など懸案の決着を目指すが、国内農家の不安感は根強い。政府は輸出促進を含む経営安定対策を併せて講じることになりそうだ。