河川の増水予測 5年間で的中数例 国交省、モデル大幅見直しへ
大雨で増水した際に国土交通省などが特定の河川に対して発表する「指定河川洪水予報」について、過去5年間に行われた水位予測のうち、予測通りに水位が増減したのは約60例中で数例にとどまることが1日、同省関係者への取材で分かった。精度の低さが浮き彫りになった形で、同省は検討会を立ち上げて精度の大幅向上に乗り出している。
国交省は指定河川の水位予測状況を検証するため、各河川事務所を通じ、直近5年以内に発生した増水時の予測データを約60河川で1ケースずつ抽出し調査。
1時間ごとに出される1~3時間先までの水位予測を実測値と比べたところ、上がるとした予測より早く実測値が上がったり、下がるとした予測が実測値では上がるなど、予測と実測値が一致しないケースが多かった。判定基準はないが、おおむね一致したのは10ケース未満だったとみられる。
同省は予測精度の大幅向上に向けて6月、河川工学などの外部有識者や関係機関職員を交えた非公開の検討会を設置。関係者によると、河川ごとに異なる水位予測モデルを見直し、古いモデルを更新していく作業を、今後数年かけて行う方針を確認したという。「指定河川洪水予報」で予測情報が発表されるのは、数時間後に氾濫危険水位に達する場合に限定されている。
河川防災に詳しい中央大理工学部の山田正教授(防災工学)は「水位をピタリと当てるのは難しいが、細かい情報を反映できる新しいモデルに変えることで、精度は上げられるだろう」と話している。
◇
■指定河川洪水予報 流域住民の早めの避難行動につながるよう指定河川の観測所ごとに4つの警戒水位を設定し、水位に達すると河川管理者と気象庁が共同で発表する。指定河川は国や都道府県管理の計419河川(昨年3月末時点)。観測と同時に予測も行っており、5段階中下から3番目の「氾濫警戒情報」は、数時間後に氾濫危険水位に到達すると予測された場合にも発表する。
関連記事