北朝鮮がミサイル発射 日本のEEZに落下 安倍首相「脅威増した」
菅義偉官房長官は4日午前の緊急記者会見で、北朝鮮が午前9時39分ごろ同国西岸から弾道ミサイルを発射し、約40分飛んだ後、日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したとみられると発表した。付近を航行している船舶などに被害はないという。
菅官房長官は会見で「国連安全保障理事会決議への明白な違反だ。北朝鮮による度重なる挑発行為は断じて容認することはできない」と述べ、北朝鮮に対し外交ルートで厳重に抗議した経緯を明らかにした。
ミサイルが落下した付近の海域で、船舶の被害などの被害は確認されていないという。
菅氏によると、報告を受けた安倍晋三首相は(1)情報収集・分析に全力をあげ、国民に対し迅速、的確な情報提供を行う(2)航空機、船舶等の安全確認を徹底する(3)不測の事態に備え万全の態勢を取る-の3点を指示した。
安倍首相は4日午前、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて「度重なる国際社会の警告を無視するものだ。今回のミサイル発射はさらに脅威が増したことを明確に示すものだ」と批判した。首相官邸で記者団に語った。
安倍首相は7、8日にドイツ・ハンブルクで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて日米韓首脳会談を開催し、3カ国の連携強化を確認する考えを示した。また、「高度な警戒態勢を維持しながら、国民の安全を確保するために万全をつくす」と述べた。
政府は4日午前、国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合を開き、情報を集約するとともに対応を協議した。また政府は、北朝鮮情勢に関する官邸対策室で情報収集を進めている。
北朝鮮は5月14日に中長距離と称する弾道ミサイル「火星12」を発射。以来、先月8日に東部の元山(ウォンサン)付近から地対艦巡航ミサイルとみられる数発を発射するまで、4週連続でミサイル発射を強行した。
北朝鮮をめぐっては先月末、トランプ米大統領と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が米韓同盟を再確認し、核やミサイルの開発に対し共同で対処する姿勢を示したばかり。
トランプ米大統領は3日夜(日本時間4日午前)、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことについて、ツイッターで「日本も韓国もこれ以上、(北朝鮮の挑発を)我慢できるとは思わない」と非難。さらに、「おそらく中国は北朝鮮に対して重大な動きをみせ、こんな無意味なことをすぐにやめさせるだろう」とつぶやいた。
中国国営通信、新華社は4日、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射したことを、韓国メディアの報道を引用する形で速報した。
国連安全保障理事会は先月、北朝鮮の弾道ミサイル発射を強く非難し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の側近を含む14個人と北朝鮮の4企業・団体を資産凍結や渡航禁止の制裁対象に追加する決議案を全会一致で採択した。
また、5月末の先進7カ国(G7)首脳会議では、北朝鮮を「新たな段階の脅威」になったとし、核・ミサイル開発の完全放棄を要求するなど圧力強化で一致していた。
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