(3)平均年利8%! 高利回りの理由とは

ソーシャルレンディングを知る
各事業者のファンド募集時における予想利回りの単純平均

 資産運用先としてソーシャルレンディングが少しずつ注目されてきている一方、その高利回りの理由はまだ広く知られていない。連載の第3回はソーシャルレンディングの利回りが高い理由を解説する。(藤田雄一郎)

▽独自の案件調達ルートと柔軟な融資審査基準

 銀行の預金金利が限りなく0%に近い中、ソーシャルレンディングの比較サイト「クラウドポート」に掲載している事業者22社の平均年利回りは約8%にも達する。なぜ、ソーシャルレンディングは高い利回りを出すことができているのだろうか。

 その理由は、インターネットを活用することによる低コスト運営、そして銀行とは異なる柔軟な融資審査態勢にある。

 ソーシャルレンディングはITを活用し、ウェブサイト上で広く投資家を募ることにより、効率的な投資家獲得を実現している。店舗を持たず、営業員も必要としないため、既存の金融機関に比べて人件費や地代家賃を低く抑えた運用が可能だ。

 また、ソーシャルレンディング事業者は独自の案件調達ルートと柔軟な融資審査基準を合わせ持つことで、「返済の確実性は高いが、既存金融機関からの借入れが困難な案件」を見つけ出して融資をおこなっている。利回りが高いからといって、必ずしも貸倒れリスクの高い案件に対して融資をおこなっているわけではない。

▽借り手企業はなぜ銀行から融資を受けないのか?

 例えば、投資家への年利回りが8%のファンドの場合、ソーシャルレンディング事業者から資金需要者(借り手)への貸出金利は年10~14%程度となる。この金利水準で貸し出しができれば、事業者の取り分を差し引いても、年利8%の利回りを無理なく投資家に支払うことができる。

 ここでひとつ疑問が生じる。なぜ借り手企業は、この低金利時代にわざわざ金利の高いソーシャルレンディング事業者からお金を借りるのだろうか。

 それには、銀行の硬直化した融資審査態勢とビジネスモデルが関係している。銀行はかつて不良債権処理に苦しんだ経験から、非常に厳しい審査基準を自らに設けている。その結果、審査の柔軟性が欠如することになり、事業者が抱える多様な資金ニーズに応えきれていない。例えば、業歴の浅い企業や前期赤字の企業は、現時点でしっかり利益を出せていたとしても融資を受けることは基本的に困難だ。

 それに対してソーシャルレンディングは、融資額と同価値の担保さえ確保できれば、業歴や事業規模に関係なく融資を実施することが多い。あくまで返済の確実性のみを重視し、それ以外の審査項目については柔軟なスタンスをとることで既存金融機関との差別化を図り、新たな資金調達先としての存在感を高めている。

▽銀行とは異なる間尺の案件を取り込む

 銀行の間尺に合わない案件を取り込んでいるという側面もある。

 銀行は利幅が薄いこともあり、少額もしくは短期間の融資案件をあまり好まない傾向にある。手間をかけて審査を行っても、短期間で返済されてしまえば、収益は小さくその手間に見合わないからだ。一方で、ソーシャルレンディングは短期間、少額融資と相性が良く好んで融資を行う。

 期限前の早期弁済についても寛容だ。銀行の中には、予定していた返済期限よりも早期に全額弁済すると違約金を取られる場合がある。一方で、ソーシャルレンディングには基本そのような取り決めはない。借入金の返済期日を流動的にしたい借り手企業にとっては使い勝手が良い。このあたりの融通性の高さも、ソーシャルレンディングが積極的に利用され始めている理由のひとつだ。

▽借入を希望する企業は後を絶たない

 成長性、収益性の高い企業にとって、資金不足を理由に事業の足止めを受けることは大きな機会損失につながる。多少、金利が高かったとしても、借りられるところがあるなら借りたいという企業は数多く存在する。事実として、ソーシャルレンディング事業者への借入れ希望は後を絶たない。

 まだ、ソーシャルレンディングは黎明期にあり、その存在を知らない企業が大半だ。今後も、ITを活用した低コスト運営と、柔軟な融資態勢を売りに、世の中に存在する多様な資金重要を取り込み、拡大していくことが予想される。

 次回はソーシャルレンディング投資を行う際に気をつけるべき点を解説する。(※次回は7月21日から掲載予定です)

【プロフィル】藤田雄一郎

 ふじた・ゆういちろう 株式会社クラウドポート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。2007年にWEB構築、マーケティング支援事業を行う企業を創業し、12年に上場企業に売却。13年に大手ソーシャルレンディングサービスを立上げ、サービス開始から約2年半で80億円の資金を集めるプラットフォームに成長させた。16年11月にクラウドポートを創業。

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※ソーシャルレンディングファンドを事業者横断比較できるサイト「クラウドポート

※ソーシャルレンディングに特化した情報サイト「クラウドポートニュース