(4)失敗したくない! 投資の注意点

ソーシャルレンディングを知る

 ソーシャルレンディングが注目されている理由の一つはその保全性の高さだろう。それでも元本が確実に保全されているわけではなく、無鉄砲な投資を続けていてはいつか痛い目にあうかもしれない。本稿では、ソーシャルレンディング投資において気をつけるべき点について解説する。(藤田雄一郎)

▽分散投資の重要性

 ソーシャルレンディングは元本の価格変動が無く安定的な利回りが期待できる。しかし万一、借り手企業に債務不履行が発生するなど、不測の事態があると、投資元本を毀損することになってしまう。

 そのような事態に備えて必要な手法が分散投資だ。分散投資とは投資額や投資対象を複数に分けることを指す。仮に100万円の元本を単一のファンドに集中投資したとしよう。この場合、投資したファンドで貸し倒れが発生すると、投資元本全体に大きな損失が生じる。一方、100万円の元本を10万円ずつ計10ファンドに投資したとすると、たとえどれかのファンドで貸し倒れが発生したとしても、損失額は最大10万円に抑えることができる。分散投資を行うことで、いざという時の影響を限定的なものとすることができるのだ。

▽分散投資の4技法

 ソーシャルレンディングにおける分散投資は4種類に大別できる。ファンド、融資先、事業者、そしてテーマだ。

 (1)ファンドの分散

 まずは、ファンドの分散。前述の通り、同じファンドに多額の資金を投資すると、そのファンドで貸し倒れが発生した際の損失額が大きくなってしまう。

利回りが高いファンドに、つい投資金額を寄せたくなるかもしれないが、それはリスクも集中させてしまう行動であると肝に銘じておくべきだ。

 (2)融資先

 異なるファンドに投資をしているつもりでも、その融資先が同じで、本質的にリスク分散ができていないことがある。仮に10ファンドに分散投資しても、その融資先が偏ってしまっていると、単一のファンドに集中投資している時と倒産リスクは変わらない。

 事業者によっては、ファンドの詳細ページにて、融資先を識別できるように融資先企業のイニシャルを記載している場合がある。しっかりと融資先まで確認をして投資をしよう。(※全ての企業で融資先のイニシャルを公開しているわけではない。)

 (3)テーマ

 ソーシャルレンディングの損失リスクを軽減するには、テーマを分散することも肝心だ。ソーシャルレンディングには不動産ファンドが多い。国内22社のうち、実に14もの事業者が不動産案件を扱っている。投資家のポートフォリオも不動産の比重が大きくなりやすい。しかし、もし不動産市場が下向くと投資中にファンドの多くが市場の影響を受け、借り手企業の貸し倒れリスクが高まってしまう。

 昨今は海外や事業性資金、再生可能エネルギーなどファンドテーマも多様化しているため、テーマの分散も容易になっている。

 もちろんテーマごとに固有のリスクがある点は気をつけなければならない。海外ファンドには為替変動リスクがある。事業性資金ファンドであれば、借り手企業の事業が頓挫する可能性も考えられる。

 だからこそ、テーマの分散を行うことで、ある市場が後退してもその影響を限定的にする工夫をするべきだろう。

 (4)事業者

 最も重要なのが事業者の分散だ。

 ソーシャルレンディング事業者には中小企業も少なくない。まだ赤字の企業が大半であり、財務状況が万全であると言える企業は数えるほどだ。市場成長に伴い、今後、多くの事業者にて財務状況が改善していくことが期待されるが、現時点においては、単一のソーシャルレンディング事業者に全ての投資金額を集中させるのは得策ではないかもしれない。複数の企業に分散して投資すべきだろう。

 企業によっては財務諸表を公開している企業もある。経営者のプロフィールや株主構成も少し調べればわかる。しっかりと調査を行ない、納得した上で、信頼できる複数の事業者に投資するべきだろう。

▽資金が遊ばないようにする

 投資においては損失を抑えるだけではなく、機会損失を避けることも大切だ。

 ファンドが満期を迎えると、投資用口座に分配金及び償還金が振り込まれる。これらは自身の銀行口座に引き出すか再投資をしない限り、資金は寝てしまい機会損失となる。利益を最大化するためには慎重さも重要だが、迅速な判断も必要だ。ファンドや事業者を調査する手間は惜しまず、一方で資金が寝てしまわないよう迅速な判断も心がけたい。

 次回はソーシャルレンディングがはらんでいる業界全体の課題について解説する。(※次回は8月4日から掲載予定です)

【プロフィル】藤田雄一郎

 ふじた・ゆういちろう 株式会社クラウドポート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。2007年にWEB構築、マーケティング支援事業を行う企業を創業し、12年に上場企業に売却。13年に大手ソーシャルレンディングサービスを立上げ、サービス開始から約2年半で80億円の資金を集めるプラットフォームに成長させた。16年11月にクラウドポートを創業。

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