人手不足、バブル期並み それでも賃金上昇鈍く…「これまでにない現象」
石原伸晃経済再生担当相は21日の閣議に2017年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。人手不足が1980~90年代のバブル期並みに深刻化していると指摘。労働者の生産性が米国の6割、欧州の8割と低水準にとどまる点とともに、日本経済が抱える課題に挙げた。現在の景気回復は戦後3位の長さになった可能性があるとした上で、賃金と消費が伸び悩み、好循環が家計には十分に及んでいないことを認めた。
副題は「技術革新と働き方改革がもたらす新たな成長」とした。労働力不足による低成長を打開するため、残業を抑えて多様な勤務形態を認める「働き方改革」を進め、生産効率を高める必要性を強調した。ITや人工知能(AI)など生産性向上に役立つ先進技術の活用を企業に促した。
現在の景気回復は雇用が大きく改善しているのが特徴で、完全失業率は3%前後に下がり、有効求人倍率も全ての地域で1倍を超えた。建設や運輸業を中心に人手が不足し、過酷な長時間労働が社会問題となっている。
白書は、ドイツをはじめ1人当たりの労働時間が短い国ほど生産性が高く、労働時間が10%短くなると生産性が25%高まるとの分析を紹介。残業を減らせば社員のやる気が高まり、優秀な人材も集まりやすくなるほか、企業が業務見直しや省力化の設備投資に動くことで生産性の向上につながるとの見方を示した。
こうした働き方改革が子育て世帯の所得増を通じて格差是正に貢献することや、長時間労働から解放されて買い物や旅行などの消費活動が盛り上がる効果も指摘した。
人手不足にもかかわらず賃金上昇が鈍いことは「これまでにない現象」とした。賃金が伸び悩む背景として、パート労働者の割合が増えて水準を押し下げていることや、設備投資不足などが影響し労働生産性が上がっていない点を挙げた。
また、賃上げより雇用の安定を優先する労使双方のリスク回避姿勢を問題視し、外部人材の受け入れを通じた発想の転換に期待を寄せた。低迷が続く消費に関しては、将来不安に根差した節約志向に加え、高齢化や若者の晩婚・非婚化で消費構造が変化してきていると指摘した。
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【用語解説】経済財政白書
内閣府が経済、財政に関する分析や政策提言を年1回まとめる報告書。正式名称は「年次経済財政報告」。前身の経済白書は「もはや戦後ではない」(1956年度)など時代の空気を映す名文句を残した。2001年度に現在の名称に変更。16年度の白書は個人消費が弱い背景に子育て世代の将来不安があると指摘し、教育費の負担軽減や非正社員の待遇改善を求めた。
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