初の「テレワーク・デイ」6万人参加 新しい働き方、普及なるか

 
テレワーク中の総務省職員らとインターネットを通じて話す高市早苗総務相(手前)=24日午前、総務省

 政府は24日、自宅など職場から離れた場所で働くことを促す「テレワーク・デイ」を初めて実施した。3年後の2020年東京五輪・パラリンピックを見据えて交通機関の混雑緩和や働き方改革につなげる。官公庁や民間企業など900団体以上、約6万人が参加。来年以降も継続して定着を目指すが、企業の労務管理の見直しが課題となっており、どこまで普及するかは見通せない状況だ。

 「(所属部局では)約9割の職員がテレワークを行っており、目立った障害は報告されておりません」

 テレワークを担当する経済産業省の今里和之政策企画委員は同日午前、東京都世田谷区の自宅からインターネットを通じた省内会議で報告した。

 同省はこの日、約930人がテレワークを実施。会議中に音声が途切れることもあったが、今里さんは「通勤時間がない分、集中して書類を仕上げられる」と笑みをみせた。

 一方、この日は政府の呼びかけに応じ、NTTデータが2900人、ヤフーも社員の半数に当たる3000人前後など、多くの民間企業がテレワークを実施した。

 ヤフーは普段から、連絡がつけばさまざまな場所で執務ができる制度を設けている。レノボ・ジャパンも昨年、実施できる回数に上限を設けない「無制限テレワーク」を導入している。

 高市早苗総務相は同日の記者会見で、テレワークは「時間と場所を有効活用できるため社会、企業、就業者の3方向にメリットがある」と強調。通勤時間を省いて効率よく仕事ができるほか、介護や子育てと仕事との両立も可能になる。

 ただ、一部企業からは社員の働きぶりを管理しにくいという懸念があるほか、情報漏洩(ろうえい)対策や社員同士のコミュニケーションをどう図るかといった課題もある。

 政府は働き方改革の一貫で導入企業を20年までに12年度比で3倍に増やす目標を掲げ、普及を後押しする。今年は1日限りだったテレワーク・デイの期間を延長するなどアピールを続け、「新しい働き方を五輪の遺産として残したい」(経済官庁幹部)考えだ。

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 ■テレワークの特徴的な取り組み

 ・NTTドコモ

  自社利用でノウハウ蓄積し、シェアオフィス提供

 ・クラウドワークス

  初めて実施する社員へのサポート期間を設定

 ・積水ハウス

  住宅展示場をサテライトオフィスとして活用

 ・日本航空

  WEB会議で役員会を開催、北海道からも出席

 ・日本ユニシス

  個人所有のスマートフォンやPCでも実施可能

 ・パソナ

  自然環境の中で実施し、創造性に資するか実験

 ・ヤフー

  連絡がつけば自宅に限らず、執務が可能

 ・レノボ・ジャパン

  昨年から社員の回数に上限を設けずに実施