「多様な声を1つにまとめ統率する力が不足していた」
蓮舫代表辞任会見・詳報(1)民進党の蓮舫代表は27日午後、国会内で記者会見し、党代表を辞任する考えを表明した。「どうすれば遠心力を求心力に変えることができるのか。より強い受けになる民進党を新たな執行部に率いてもらうことが最善の策だ」と述べた。詳細は次の通り。
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《記者会見の冒頭で蓮舫氏が3分余り、代表辞任を決断した理由について説明した》
お疲れさまでございます。きょうは、私からまず報告をさせていただきたいことがございます。民進党の代表を引く決断をしました。先ほど開いた臨時の執行役員会で了承をいただきました。まずご報告させていただきます。
25日に両院議員懇談会が開かれました。東京都議選の総括ならびに(野田佳彦)幹事長の重い決断をお伝えして、議員のみなさんの率直な思いに耳を傾けました。(全国11の)ブロック(ごとの国会議員)会議を通じて、今回の両院議員懇談会の、皆さんの仲間の思い、直言を耳にして、深く深く胸に入れ、昨日、人事に向けてゆっくりと考えました。熟考を一日させていただきました。
どうすれば遠心力を求心力に変えることができるのか。力強く、私たちがしっかりと皆さんに託していただける民進党であれ、と国民の皆様方に思っていただけるのか。そのとき、やっぱり考えたのは、人事ではなくて、私自身をもう一度見つめ直さなければいけないと思いました。
足りないところ、なぜ遠心力を生んでしまったのか。私たち、言えるのは、攻めの部分は、しっかりと行政監視をしてきました。今の安倍晋三内閣、安倍首相、お友達を見ているかのような政治、これを許してはいけません。えこひいきとか、不平等とか、行政が歪められたとか、途中経過が見えないような政治は絶対許してはいけない。この部分は、われわれの仲間が衆参合わせて、しっかり提起してきた。
それに対して、国民の皆様方にも「それはそうだ」という共鳴の思いが生まれたと思っています。
ただ一方で、攻めと受け。この受けの部分に私は力を十分に出せませんでした。率直に認め、今回私が手を着けるのは人事ではない。いったん引いて、より強い「受け」になる民進党を新たな執行部に率いてもらう。これが最善の策だ。民進党のためでもない。私のためでもない。国家の民主主義のために、国民の選択肢の先である二大政党制の民進党として、それをつくり直すことが国民のためになるという判断だと、ぜひご理解をいただきたいと思います。
一議員に戻ります。足りないところをしっかり補います。努力して、もっと学んで、もっと強くなる。もう一回、ゼロに戻って、私自身も再スタートする。党はまだまだ強くなる。党はまだまだ皆さんにお伝えして、しっかりと受け皿になる力がある。このことは最後に強く訴えたいと思います。私からは以上です。
《記者会見は記者団との質疑応答に移った》
--辞意を決めたのは、26日か?
蓮舫氏「はい」
--今後、代表選がある。スケジュールは
蓮舫氏「きょう執行役員会でご了承いただきましたので、党の規約に基づいて常任幹事会、そこで提起して、その後、両院議員総会になると思いますが、速やかに代表選に入っていただいて、新たな代表を選んでいただいて、新たな執行部をつくっていただいて、今の安倍内閣、新しい閣僚、新しい布陣になるかもしれませんが、首相は代わらないわけですから、やはり国民の皆様が思っている不満をしっかりと代弁し、それに代わり得る民進党ここにありという態勢をつくってもらいたいと思います」
--代表辞任の決断は、(7月2日投開票の)東京都議選の結果を受けてということか
蓮舫氏「都議選は1つのきっかけではありますけれども、直接の原因ではありません。ここは明快にさせてください。ただ、都議選の結果を通じて、丁寧に仲間の声に耳を傾けて、いろいろな声を受け止めながら、私は代表になってから、ちゃんとみんなの声に向き合ってきたのだろうかという、その反省の部分、自分に足らざる部分にも気づいたことも大きいと思っています。
いろいろと総合的に勘案して、そしてより強い受け皿となる民進党を今、迅速につくることが、代表として私がやるべきことだとの判断です」
--昨年9月の代表就任から1年たたずにこういう結果になった。足らざるところ、耳を傾けなかったところは、具体的にどこか
蓮舫氏「おそらく私に足りないと思えるものは、メディアの皆様方、あるいは党内の皆様方の判断を尊重すべきだと思います。ただ、自分の中で昨日一日考えたときに、やっぱり遠心力を働かせてしまった。それを求心力にどうやったら持っていけるんだろうか、という部分でいろいろ考えた結果、その思いというのが今回の引くという判断につながったということだけは伝えさせてください」
--野田幹事長の後任人事について、複数の議員に打診はしたのか
蓮舫氏「人事には着手していません」
--次期衆院選で東京都の選挙区に「くら替え」出馬すると明言したが、その考えに変わりないか
蓮舫氏「このことも含めて、一度立ち止まります。一度立ち止まって、ここも、もう一度考えます」
--安倍内閣の支持率が下がってきていて、民進党が受け皿になり得ていない理由は
蓮舫氏「ひとえに私の足らざる部分だと思っています」
--野党第一党の代表として、存在感を示せなかったのはどうしてだと考えるか
「いろんな理由が複合的にあると思います。全て私の足りない部分、そこに起因しています」
--足りない部分とは具体的にどういうことか。なぜ遠心力が働いたのか
「政党は多様な声を持った議員が、しっかりとその声を1つにまとめて、思いを1つに動いていく。その部分で統率する力が私に不足していたという判断です」
--先の両院議員懇談会で「次世代の民進党」をつくるとしていたが、後任の代表の人物像は
「引いていく私が特段、注文をつけることをしてはいけません。ただ、わが党には経験のある人も、あるいは志が常に高い仲間と、そして若くてチャレンジ精神がある素晴らしい仲間がいるので、求心力を高める執行部ができることを、切に切に願います」
■詳報(2)「これが民進党だとは思わないでいただきたい」 に続く
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