米産牛肉のセーフガード決定 8月から冷凍の関税50%に 米業界団体が反発
政府は28日、米国産などの冷凍牛肉の日本への輸入量が一定量を超えたため、緊急輸入制限(セーフガード)の発動を決めたと発表した。8月1日から来年3月31日まで、現行の38・5%の関税率を50%に引き上げる。輸入牛肉でのセーフガード発動は平成15年以来、14年ぶりで、4度目。
トランプ米政権は日本の牛肉関税の高さを再三、問題視しており、今回の措置への反発は避けられないとみられる。
関税を所管する麻生太郎財務相は閣議後の記者会見で、制度に沿い「粛々と執行する」とした上で「米国をはじめ関係国には発動の影響を関係省庁から連絡し、丁寧に説明している」と述べた。その上で、「米国などの要望を踏まえ、(10月にも予定される)日米経済対話の場などを活用して議論していく」と話した。
日本は経済連携協定(EPA)でオーストラリア産牛肉の関税を段階的に引き下げている。EPAを結んだ国は、今回発動されるセーフガードの対象外となるため、米国は日本市場で不利な競争を強いられそうだ。
米国産冷凍牛肉は、牛丼店や焼き肉店といった外食チェーンで使われることが多い。輸入済みの在庫牛肉が尽きれば、店頭での提供価格が上がる可能性もある。
財務省が同日公表した貿易統計で、4~6月の冷凍牛肉の輸入量は8万9253トンとなり、前年同期比の伸びを17%とする発動基準(8万9140トン)を上回った。
関税引き上げの対象となるのは、輸入量の約4割を占める米国産のほか、ニュージーランド産やカナダ産の冷凍牛肉。関税引き上げ分が価格に転嫁されれば、小売りや外食産業にも影響が広がりそうだ。
米国食肉輸出連合会は27日声明を発表し、セング会長は日本政府が米国産の冷凍牛肉への緊急輸入制限(セーフガード)発動を決めたことについて「米国の牛肉生産者だけでなく日本の外食関連業界にも悪影響が出る」と批判した。
一方、山本有二農相は、制限対象は牛肉輸入量全体の2割となっており「一般消費者への影響は限定的だ」と述べた。
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