カンボジア、地方選で野党躍進 評議会の勢力が10倍に 与党、下院選に危機感
6月4日のカンボジア地方評議会(議会)選挙で、最大野党カンボジア救国党が大きく躍進、2018年の次期下院選で勝利し、長期政権を維持したいフン・セン首相の与党カンボジア人民党に陰りがみえ始めた。政権は野党への締め付けを強め、勢いをそごうとしているが、シナリオ通りに事が運ぶかは不透明だ。
◆長期政権への批判
日本の町や村に当たる計1646の行政単位の評議会議員(計1万1572人)が比例代表制で選ばれた。6月25日に発表された公式結果によると、救国党が第1党となった評議会の数は489で、前回12年に前身の2つの党が獲得した40の10倍以上に増えた。人民党は全体の7割に当たる1156評議会で第1党となったが、前回の1592を大きく割り込んだ。
首都プノンペンや北西部シエムレアプ、首相の地元コンポンチャム州など都市部では、野党が第1党となった評議会の数が与党を上回った。連立政権時代を含むと30年以上に及ぶフン・セン長期政権に対する批判が、特に都市部で高まっている結果とみられる。
与野党は今回の地方選を次期下院選の前哨戦と位置付け、激しい選挙戦を展開した。特に13年の前回下院選で救国党に大幅な議席増を許した人民党は、首相自ら過去の選挙戦で控えていた街頭演説を行い「カンボジアに平和と安定をもたらしたのは人民党だ」と訴えた。
救国党の報道担当者は「今回より10~15%票を上積みすれば、下院選で勝てる」と表明。一方、首相は「得票数では前回地方選より多い。下院選も今回と同じ結果になる」と与党勝利の見通しを強調した。
カンボジアのシンクタンク、国際協力平和研究所のプー・ソティレア理事長は「人民党が与党としてとどまるための最大の試練に直面しようとするなか、下院選に向けた不確実性は高まっている」と分析する。
◆締め付けを強化
政権維持への自信を示す首相の発言とは裏腹に、人民党政権は救国党への締め付けを強めている。救国党党首だったサム・レンシー氏は15年から国外で事実上の亡命を続ける。与党政治家への名誉毀損(きそん)容疑で逮捕状が出され、帰国すれば即時収監は確実だからだ。
同氏は今年2月、有罪判決を受けた者の党首就任を禁じる改正政党法の成立前に、党首を辞任。7月10日には同法のさらなる改正を議会が可決し、犯罪記録がある人物の写真や音声などを政党が使うことが禁じられた。
サム・レンシー氏は国民の人気が高く、救国党の支持につながることを人民党政権は警戒する。一連の措置は、次期下院選を前にした危機感の表れとみられている。(プノンペン 共同)
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