金正恩氏「米国の行動をもう少し見守る」 猶予設けトランプ政権揺さぶり
北朝鮮の労働新聞が15日掲載した、朝鮮人民軍戦略軍司令部を視察する金正恩朝鮮労働党委員長(左から2人目)の写真(コリアメディア提供・共同)
【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は14日、朝鮮人民軍戦略軍司令部を視察し、米領グアム沖への弾道ミサイル発射計画について報告を受けた。「愚かな米国の行動をもう少し見守る」と述べ、トランプ米政権に挑発行為をやめるよう要求。「米国が朝鮮半島周辺で危険な妄動を続けるなら、既に宣告した通り、重大な決断を下す」とも強調した。
朝鮮中央通信が15日、報じた。実行をいったん保留し、トランプ政権の出方を試す思惑がうかがえる。
金洛兼(キム・ラクキョム)戦略軍司令官から「グアム島包囲射撃準備を終え、党中央の命令を待っている」と報告を受けた金委員長は、幹部らと作戦案を長時間検討。計画が緻密で用意周到に作成されたと満足の意を示したという。
金委員長は、軍事的衝突を防ぐには「多くの核戦略兵器を投じ、火種をまいた米国が先に正しい選択をし、行動で示すべきだ」と主張。戦略爆撃機などを展開して軍事的圧迫を続けるトランプ政権をけん制した。
「米国の無謀さが一線を越え」、発射が断行されれば「米国の首に刃を突き付ける最も痛快な歴史的瞬間になるだろう」とも語った。党が決心すれば、いつでも実戦に突入できるよう常に発射態勢を整えておくようにも指示した。
金司令官は10日までに、中距離弾道ミサイル「火星12」4発をグアム沖30~40キロに撃ち込む案を検討していると発表。今月中旬までに計画を完成させ、金委員長に報告するとしていた。
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