給油所存続 不便に対応、広がる自治体運営
給油所の存続に向け、民間事業者が不在の地域では自治体が運営する動きも出始めた。給油所が遠くて不便だと訴える住民に対する行政サービスの一環だ。相次ぐ廃業に危機感を抱く業界団体も協力姿勢で、今後さらに広がる可能性がある。
北海道伊達市は9月にも市営給油所「大滝サービスステーション」を開店する。3月まで農協が運営していたが、採算が厳しく撤退。市が施設を譲り受けて建て替えた。市内の他の給油所は25キロほども離れている。市の担当者は「災害時の拠点としても活用したい」と説明する。
北海道では占冠村も2013年に閉鎖された給油所を今秋に再開予定だ。最寄りの給油所が遠く、村民が復活を求めていた。村が設備を買い取って改修する。同様のやり方で、和歌山県すさみ町や愛知県豊根村も既に給油所を経営している。
複数の島で構成する鹿児島県十島村には給油所がもともとなく、村主導で整備する方針だ。現在は燃料をドラム缶に入れて村外から各島に運ぶため、輸送費がかさんで割高だという。自治体と企業などの連携を条件にガソリンや灯油の安定供給を支援する国の補助金を活用し、実現を目指す。
業界団体の全国石油商業組合連合会は「自治体による運営は新しい流れだ。できる限り支援をしたい」としている。
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