バイオマス「脱炭素化」の切り札 発電量10年で2.5倍 日本の課題は?

 
クラボウ徳島工場内のバイオマス発電所で開かれた式典。燃料は国内の間伐材を利用する=2016年7月27日、徳島県阿南市

 木材や農業廃棄物など生物由来の物質を利用するバイオマスエネルギー。植物が光合成で大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収してできたものなので、京都議定書などではCO2排出量はゼロとされる。太陽光や風力発電と並ぶ持続可能な再生可能エネルギー源として注目され、世界各国で利用が拡大、森林資源が豊かな日本でも注目度が高まっている。

 世界エネ消費の14%

 「バイオマスは重要な再生可能エネルギーで、熱供給や発電、自動車燃料などとして広く使われている。2050年以降に化石燃料の使用をゼロにするというパリ協定の目標達成にも重要だ」-。世界バイオエネルギー協会(WBA)のレミギウス・ラピンスカス代表は今年5月、WBAや日本の自然エネルギー財団などが主催して都内で開いたシンポジウムで、こうアピールした。

 エネルギーの専門家らでつくる「21世紀の再生可能エネルギーネットワーク」(REN21、本部フランス)によると、06年には200兆ワット時だったバイオマス発電の量は16年には504兆ワット時と2.5倍になった。発電設備の容量では米国が最も多く、中国、ドイツがこれに次ぐ。

 トウモロコシや大豆などからのバイオディーゼルや、サトウキビを使ったバイオエタノールなど自動車燃料の製造量もこの間に同様に増加した。バイオマスは、世界のエネルギー消費の14%を占めるまでになった。

 スウェーデンやフィンランドなど森林資源が豊かな北欧諸国は、バイオマスを「経済の脱炭素化」を進める上での主要な手段と位置付けている。

 日本でも12年7月に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度でバイオマス発電が対象とされたことから、間伐材などを燃やして発電する施設が増加、下水汚泥や畜産廃棄物からのガスを利用した発電所も増えてきた。

 地域産業創設も期待

 家畜の排泄(はいせつ)物や稲わらなど農畜産業や漁業からの廃棄物など対象となる燃料の範囲は広く、地域の新産業創設やエネルギー自給にも貢献すると期待されている。

 一方で問題も少なくない。日本の場合、固定価格買い取り制度の影響で、バイオマス利用は発電に偏りがち。欧州では発電と同時に出る熱を地域冷暖房や給湯などに利用してエネルギーの利用効率を高め、CO2の排出削減に貢献しているが、日本の熱利用は大きく遅れている。

 また、燃料費を安くするための海外からの輸入燃料への依存度が高い。なかには、東南アジアの熱帯林破壊の要因になっていると指摘されているアブラヤシのプランテーションで生産されたパーム油を使う発電所まで計画されており、環境保護団体からは、厳しい批判が出ている。