スウェーデンの最新バイオマスプラント コンパクトで高効率が自慢
スウェーデンの首都、ストックホルム中心部から車で5分ほど行くと、茶色い円筒形の近代的な建物が目に入ってきた。エネルギー企業「フォータム」とストックホルム市が共同で運営する最新鋭のバイオマスエネルギープラントだ。
「市内にあるので周囲の景観に配慮したし、建設予定地にあった大きな木を切らないように設計を変えるといったこともしました」と広報担当のヨナス・コレットさん。茶色の外観は、周囲に多いれんが造りの建物との調和を考えたものだ。
アパート19万戸分
「2016年秋から運転を開始したこのプラントは、林業活動から出る廃棄物などを燃やして発電すると同時に、発生した熱を市内に送って暖房などに利用する熱電併給(CHP)プラントだ。「欧州のバイオマスプラントはCHPが主流。この新プラントは年間、市内の平均的な規模のアパート約19万戸分に当たる17億キロワット時の熱と、7億5000万キロワット時の電力を供給できる、このタイプとしては世界最大級のものです」。技術マネジャーのヨアキム・メルストロムさんが施設内を案内しながら解説してくれた。
燃料を燃やして出た熱を利用してタービンを回して発電、水を加熱して高温にする。高温の水はパイプでストックホルム市内に送られて冬場の暖房などに利用、温度が下がった状態で再び、プラントに戻ってくる。バイオマスエネルギープラントの原理は単純だが、発電所内は、大小のパイプが縦横に張り巡らされた非常に複雑な構造だ。
メルストロムさんは「プラント内の熱も回収して再利用しているので、エネルギーの利用効率は非常に高く、計算上は100%近い」と語る。
原料の木材チップはスウェーデン国内や近隣諸国から専用の港を使ってプラントに運ばれる。発電所内の燃料貯蔵設備は約5日分の6万立方メートルと比較的小さい。市の中心部に近いため、コンパクトな施設にすることが求められたためだ。
「脱化石燃料」実現へ
バイオマス利用の大きなメリットは、地域への熱供給によって、暖房や給湯などに使う化石燃料の量を減らせることだ。
ストックホルム市によるとCHPの拡大で同市の1人当たり二酸化炭素(CO2)排出量は1990年の2.9トンから2015年には0.9トンにまで減少。16年の住宅1平方メートル当たりの排出量も5.6キロと1997年の3分の1近くにまで減った。
コレットさんは「新プラントの稼働でCO2排出量はさらに減っている。遅くとも2030年までにすべての地域熱供給をバイオマスなどの再生可能エネルギーと回収熱で賄うことが目標です」と話す。施設内に残っている石炭火力発電プラントを廃止して「脱化石燃料」を実現することが次の大きな課題だ。
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