抑止力強化のため、非核三原則の撤廃を

太陽の昇る国へ
「水爆」とみられる物体を視察する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(右から2人目)。朝鮮中央通信が3日配信した(朝鮮通信=共同)

 □幸福実現党党首・釈量子

 --北朝鮮が8月29日に弾道ミサイルを発射したのに続いて9月3日には過去最大規模の核実験を強行しました

 核戦力強化に向けた金正恩朝鮮労働党委員長の野心は阻止せねばなりません。日本列島を超えてミサイルを発射した北の行動はわが国への戦争行為とも言えるものであり、国家存亡がかかった局面を迎えているとの認識を国民全体で共有すべきです。

 --国連安保理による9回目の対北制裁決議が採択されました

 焦点の石油の全面禁輸は見送られ、制限措置に留まるなど、中露両国に譲歩し、決議の内容が骨抜きになった感は否めません。一応の前進とみる向きもありますが、これをもって北朝鮮に核開発を断念させることはできないでしょう。

 また、「北朝鮮を核保有国として容認すべき」との意見も出てきていますが、これは北朝鮮の増長を招き、世界の安定を脅かすだけです。その考えにくみすることはできません。

 --今後、北朝鮮の出方如何(いかん)では、米国による軍事行動も考えられます

 外交的解決に手詰まり感もあるなか、軍事圧力を強めることで北の武装解除を進めねばなりません。いずれにせよ、米朝開戦の可能性はあるだけに、政府には防衛出動発令や日米の共同対処に遺漏ないよう求めます。国内における反米世論は根強いですし、北朝鮮は在日米軍基地の攻撃を示唆するなど日米分断を狙っている節もありますが、米国と結束して対峙(たいじ)しないことには、日本の安全は守れません。

 また、北の暴発もあり得ることから、政府や自治体、関係機関が緊密に連携し、テロや難民への対処、国民の安全確保に万全を期すべきです。在韓邦人への退避勧告も発出するよう求めます。

 なお、米国の攻撃は北朝鮮に壊滅的な結果をもたらします。自国民の生命を守るため、核・ミサイルを潔く放棄することこそが、指導者としての金正恩氏のなすべき判断のはずです。

 --来年度予算の概算要求で、防衛省が過去最大の5.2兆円を要求していることを問題視する向きもあります

 不見識にもほどがあります。問題なのは防衛予算が国内総生産(GDP)比で少ないことです。直面する脅威は北朝鮮だけではありません。中国は侵略的な対外膨張を続けていますが、来月の共産党大会を経て、習近平国家主席の権力基盤が強化され、強硬姿勢が強まることも見込まれます。

 防衛力、抑止力強化は待ったなしです。装備・人員ともに、北朝鮮や中国から日本を守り抜ける体制を整備すべく、防衛費は倍増してしかるべきです。核シェルター整備のための必要な措置も急がねばなりません。

 また、北朝鮮が米本土攻撃を可能とすれば、米国の核の傘は無効化しかねません。核抑止力強化に向けて、非核三原則を早急に撤廃し、米国の核持ち込みを認めるとともに、自衛のための核装備も決断すべきです。

 憲法9条の全面改正も急務ですが、改憲には時間を要するだけに、有事に即応すべく、憲法解釈変更により北朝鮮などは9条の適用除外とするよう提言します。拉致被害者の救出に自衛隊を動かすためにも政府の決断を求めます。

 --さて、野党の選挙態勢の遅れや景気拡大などを背景に、早期の衆院解散も取り沙汰されています

 解散権は首相の専権事項であり、受けて立つのみです。ただし、経済状況については、雇用統計などが好調なのは確かですが、安倍晋三政権が胸を張れるほどの成果を上げているかといえば疑問です。第2次安倍政権発足後、名目GDPは増加してはいるものの、リーマン・ショック前の水準をわずかに上回る程度の回復に過ぎません。8%への消費増税により、GDPの6割を占める個人消費は冷え込み、いまだ力強さを欠いています。最優先の政策目標であるはずのデフレ脱却も見通せていないのが実情です。

 こうしたなかにあって、安倍首相は10%への消費税増税を予定通り2019年10月に行う考えを示しています。増税や賃上げ要請など、現政権には国民生活への関与を強め、自由を抑圧する傾向が見て取れますが、その姿勢は誤りです。経済再生に必要なのは、5%への消費税減税をはじめ、大胆な減税や徹底的な規制緩和など、私たちの掲げる「自由からの繁栄」に向けた政策に舵を切ることだと考えます。

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【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。