米経済、金融引き締め局面は1937年酷似 現在との共通点は
マンハッタンの風景■有名投資家「ご託宣」
米連邦準備制度理事会(FRB)は、19、20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で資産(バランスシート)の圧縮開始を表明する見通しである。FOMCが「出口戦略」を模索するなか、世界で最も名の通った投資家の一人であるレイ・ダリオ氏が下した「ご託宣」が金融関係者の間で話題になっている。
「2008年危機」予想
「米国経済は1937年に似ている」(ダリオ氏)というのだ。
ダリオ氏は「グローバル・マクロ」と呼ばれるマクロ経済の動きを予想する投資戦略の第一人者で、2008年の金融危機を予想した実績がある。同氏が経営する米投資会社米ブリッジウオーター・アソシエイツは、「オール・ウエザー」(全天候型)と呼ばれ、独自の景気循環モデルに基づいて運用する旗艦ファンドで有名だ。
では、37年と現在は、どのような共通点があるのか?
戦前の大恐慌後、米政府はニューディール政策といったケインジアン的な政策をとる。その一環として金融緩和を実施するのだが、36年に見切り発車して預金準備金率を引き上げた。
しかも、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領は財政削減も打ち出す。政府肥大化に嫌気がさして37年の政府支出を前年比8%減らし、翌38年も10%削減したのだ。
このため、回復基調だった国内総生産(GDP)は38年にマイナス3.4%となり、株価は一年で半分となった。米国は再び不況に突入したのである。
今の米国は超金融緩和を通じて、金融危機を乗り越えたが、ついにFRBが政策金利引き上げに乗り出している。
資産縮小も市場に織り込まれており、「金融引き締め局面の初頭である点で似ている」とダリオ氏は語る。
金融危機以降、「37年に似ている」と話題になった局面がこれまで2回あった。
最初は2011年夏。欧州金融危機のさなか、格付け会社が米国債の格下げを発表。債務上限引き上げ問題で財政支出を削減する計画が明らかになり、株価が下落した。
2回目が13年夏前。当時のバーナンキFRB議長が「出口政策」を示唆したため、長期金利が急上昇した。
地政学リスク顕在化
「ダリオ発言」に金融関係者が反応するのは、北朝鮮問題という地政学リスクが顕在化しているためでもある。大恐慌という経済面が第二次世界大戦の遠因になったことは誰でも知っている。
37年と現代は、「格差が拡大した結果、ポピュリズムが台頭している点でも酷似している」とダリオ氏は語る。30年代も世界各国にポピュリズムが広がった。低金利は格差是正にはつながらないが、少なくとも経済のパイは縮小しない。社会不安の高まりを防ぐためにも、利上げペースは意外にも緩やかになるのかもしれない。(産経新聞ニューヨーク駐在編集委員・松浦肇)
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