TPP首席会合が閉幕 凍結項目の絞り込みに進展 見直し要望、約50項目に集約
米国を除く環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の参加11カ国が東京都内で開いた首席交渉官会合は22日、2日間の日程を終えた。米離脱を受けた協定の見直しでは、凍結項目の絞り込みに向けた作業が進展。7週間後に迫る11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での大筋合意を目指し交渉は追い込みに入る。次回会合は10月に再び東京で行う。
議長を務めた梅本和義首席交渉官は会合の終了後、協定の見直しについて「まだまだ作業が必要だが、(凍結項目を)絞り込むための材料や土台はできてきた」と成果を説明した。
凍結で合意した項目は、実施を一時的に棚上げする。会合では対象項目を選別するため各国の考え方を整理し、既に凍結方針が固まった医薬品のデータ保護期間を含む知的財産を中心に議論が進んだ。また、近い将来に12カ国の枠組みに戻せるよう米国の強い要求で各国が譲歩した項目を凍結し、復帰すれば元に戻す方針も確認したもようだ。
国内調整が遅れていたベトナムを含む11カ国全てから見直し要望が出されたが、重複を整理した結果、8月末の前回会合と同程度の約50項目に集約された。
交渉筋は「各国が頑張って国内の反発を抑えているため、要望がこれ以上大きく増えることはない」とみており、“本番”直前となる次回の東京会合では、どの項目を凍結するのか一定のめどをつけたい考えだ。
ただ、著作権の保護期間を米国と同じ70年に延長するルールや、新興国政府の物品調達や公共事業を外資企業に開放する規定など、見解に相違があり調整が難航しそうな項目も残る。ベトナムは繊維製品の関税撤廃・削減対象を厳しく制限する原産地規則について内容の修正を求めたようで、今後の懸案になる。
23日に投開票を行うニュージーランドの総選挙でTPPの見直しを主張する最大野党の労働党が政権交代を実現すれば、交渉に悪影響が及ぶ恐れもある。「どんな状況が起きても適切な対応をとるしかない」(梅本氏)とはいえ、最終盤で11カ国の足並みがそろうのか、正念場を迎えている。
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