政府、民泊の詳細な営業ルール 自治体規制を必要最小限に

 
東京都大田区の「特区民泊」認定物件に泊まり会話を楽しむ台湾の人たち(百戦錬磨提供)

 政府は17日、来年6月に施行される一般住宅に有料で客を泊める「民泊」新法(住宅宿泊事業法)に基づく詳細な営業ルールを固めた。民泊普及のため、自治体による規制を必要最小限とするのが柱。条例で民泊営業を禁止したり、新法で年180日を上限とされた営業日数を制限したりする場合、区域や期間を具体的に明記するよう規定。騒音、道路渋滞をはじめとする住環境悪化の防止などの範囲にとどめるよう求めた。近く新法の政令を閣議決定する。

 民泊をめぐっては、北海道や京都市などが、市民生活への悪影響を懸念して独自に営業制限を検討している。一方、政府は増加する外国人旅行者の受け皿としたい考えで、今回のルールにより、必要以上の規制をしないようにする狙いがある。

 新法は来年6月15日の施行の見通しで、都道府県や政令指定都市に届けた家主は年180日以内の民泊営業が可能になる。政令では、自治体が営業禁止や日数制限する場合、条例に「学校や保育所付近で、長期休暇中を除く月曜日から金曜日まで」「紅葉時期など例年道路が混雑する時期」などと記述するよう規定。都道府県は地元市町村から意見を聴取し、条例に反映させるよう求めている。

 民泊営業を行う住宅では、家主不在の場合は、ホテルや旅館と同様、停電時など非常用の照明器具や火災警報機の設置を原則として義務付ける。家主がいる場合は床面積が50平方メートルを超える宿泊室のみ同様の対応が必要とした。訪日客など旅行者に安心して利用してもらうため、通常の宿泊施設と同じような安全性の確保を求めた。

 家主には、2カ月ごとに民泊を利用した外国人客の人数や国籍などを報告してもらう。得られたデータは、観光統計として観光庁が活用し、民泊利用が増えている中国人など訪日客の実態把握に役立てていく方針だ。

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 ■民泊の詳細ルールのポイント

 ・自治体が民泊営業を禁止したり、営業日数を制限したりする場合、条例に具体的な区域や期間を明記。規制は住環境の悪化防止など必要最小限とする

 ・民泊営業を行う住宅の家主が不在の場合、非常用の照明や火災警報機の設置を義務付ける

 ・家主は、2カ月ごとに民泊を利用した外国人客の人数や国籍などを報告

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【用語解説】住宅宿泊事業法

 急増する訪日外国人の受け皿として期待される「民泊」の基本的なルールを定めた法律で、6月に成立した。家主には、民泊住宅と分かる標識の掲示や宿泊者名簿の作成、定期的な清掃などを義務付けた。違反した家主には業務停止命令などを出し、従わない場合は6月以下の懲役か100万円以下の罰金を科す。無届け営業は旅館業法違反に問われる。