この国を本当に守り抜くために 幸福実現党党首・釈量子
太陽の昇る国へ--衆院選は、自公が3分の2の議席を獲得しました。幸福実現党の議席獲得はなりませんでした
私たちは「清潔で、勇断できる政治を。」とのキャッチフレーズを掲げ、この国の未来を築くための政策を訴えました。選挙戦で、安倍晋三首相は北朝鮮危機から「この国を守り抜く」と訴えつつも、憲法9条改正に触れようとしませんでした。これに対し、私たちは、本当にこの国を守り抜くために必要な政策として、9条改正はもちろん、非核三原則撤廃や核装備などを主張しましたが、こうした訴えは有権者の皆さまに“鋭すぎる”と捉えられたかもしれません。
ですが、“なまくら”な政策や姿勢で日本の直面する国難は決して打破できません。私たちの政策を国政に直接反映させることができないことに悔しさと焦りを感じます。民意を真摯(しんし)に受け止めつつ、引き続き、日本の立て直しに向け、活動を続けていく決意です。
--さて、消費税率引き上げ分の使途変更を含め、安倍政権の経済政策についての考えを
政権はアベノミクスの成果を盛んにアピールしていますが、8%への消費増税により、個人消費は力強さを欠き、デフレ脱却もお決まりの“道半ば”です。賃金も伸び悩み、実感ある景気回復が達成できていないのは明らかです。
消費税の増税は中止し、税率は5%に引き下げるべきです。減税による景気回復、経済成長を急がねばならないというのが、私たちの考えです。
10%への消費税増税分の使い道として教育無償化にも充てるというのは、増税・バラマキ政策にほかなりません。民主党政権時、自民は高校授業料無償化を「理念なきバラマキ」などと批判していましたが、その考えはあっさり撤回したようです。約1100兆円にも膨れ上がった政府の借金も、その大きな責任は自民党による長年の利益誘導・バラマキ政治にありますし、安倍政権が“地金”を露(あらわ)にしただけとも言えます。
また、政府の借金は「使い切りの予算単年度制」を続けている限り、解消は困難だと思います。民間が努力しているように、国も経営マインドを持つべきです。支出を減らす努力をしつつ、予算を複数年度制にし、余剰金を積み立てるような“ダム経営”ができれば、増税も必要なくなるでしょう。景気変動に左右されない、増税に頼らない国家運営を目指すべきです。
--北朝鮮問題については
日米が結束して圧力を強め、北朝鮮の“無血開城”を実現すべきです。加えて、日本は自国防衛に本気で取り組むべきと思います。対北朝鮮について、安倍首相はなにかと「力強い外交」を強調していましたが、これは米国頼みの言い換えであり、主体的には何もしませんと言っているようにもとれます。
そもそも、国防を軽視し、米国に安全保障を依存してきた結果、今日の危機を招いたのは明らかです。いつまでも自国の安全、国民の生命を他国に委ね続けていて、いいわけがありません。
ましてや軍事的脅威は北朝鮮だけではありません。中国では、先般の共産党大会で、習近平総書記(国家主席)が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島での人工島建設を成果として強調したほか、台湾独立を許さない考えを示すなど、強硬姿勢を鮮明にしています。習氏は今世紀中盤には「世界一流の軍隊」をつくる方針も表明しましたが、中国はかねて尖閣諸島奪取もうかがっているだけに、日本として相応の備えを急がねばなりません。
いずれにせよ、日米同盟を強化しつつも、独立主権国家として、「自分の国は自分で守る」体制整備を決断すべきです。
--これから憲法改正に向けた論議も活発化するとみられます
自民党が掲げる「自衛隊の明記」は「自衛隊は戦力ではない」という建前の条文化であり、現状追認に過ぎません。国防の手足を縛り続けて喜ぶのは北朝鮮です。9条を堂々と改正し、自衛隊を軍に位置づけるべきです。
その一方、改憲には一定の時間を要するのも事実です。そこで、憲法前文で謳(うた)う「平和を愛する諸国民」とはいえない北朝鮮などに対しては、9条適用除外を決定し、国際法上認められる自衛権の行使を可能とすべきです。拉致被害者救出に自衛隊を動かすためにも、一刻も早い決断を求めます。
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【プロフィル】釈量子
しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。
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