TPP大筋合意なら米国どう出る? トランプ氏は「TPPを終わらせた。誇りに思っている」
【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領のアジア歴訪中の8日、ベトナムで環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加国の首脳・閣僚会合が開かれるが、トランプ政権内にTPP再加入を検討する兆しはうかがえない。通商政策に関して、米政権は北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉や、韓国とのFTA再交渉を最優先としているためだ。
「TPPを終わらせた。やがて皆さんが感謝してくれる。誇りに思っている」
先月下旬、トランプ大統領は米テレビのインタビューでこう話し、これまで何度も「最悪の協定」と批判してきたNAFTAと並べて、TPPを攻撃した。
トランプ氏は、過去の政権下で結ばれた通商協定により「米国民の雇用が奪われた」と述べ、メキシコ、カナダと結ぶNAFTAを見直す再交渉を開始した。
特に多国間協定に背を向ける姿勢は変わらない。最近では世界貿易機関(WTO)が「米国以外の国のために設立された」(トランプ氏)などと述べ、WTOにも矛先を向けている。
ただ、こうした政権の強硬姿勢には、国内の産業団体から懸念も出ている。政権がNAFTA離脱も辞さない姿勢をみせていることに、自動車メーカーや部品製造などの業界団体が連携し、NAFTAの重要性を訴える団体を立ち上げて政権への働きかけを始めた。
TPPについても10月中旬、下院の関連委員会の公聴会で、全米最大の肉牛生産者団体である米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)が「TPP離脱で大きな不利益を被った」と述べ、関税の大幅引き下げを決めたTPPを強く支持する姿勢を表明した。
こうした「内圧」が、トランプ政権に軌道変更を迫る力として働く可能性はある。だが、TPP再加入の検討が具体的に動き出すには、まだ多くの時間を要するとみられる。
■TPP交渉で“らち外”の中国に主導権狙いのシナリオ 米離脱の間隙を突く?
関連記事