【マネー講座】《NISAを学ぶ》(3)〈つみたてNISA〉少額から、初心者におすすめ

 

 NISAを使って株式や株式投資信託に投資した場合、投資によって得た配当・分配金、譲渡益が非課税となります。NISAには「一般NISA(2014年に創設された元々のNISA、以下同じ)」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」があり、それぞれ利用できる人や限度額、対象商品などが異なります。今回は、つみたてNISAについて解説します。(大和総研 是枝俊悟)

つみたてNISAは「つみたて」のための制度

 つみたてNISAは、少額からの積立・分散投資を促進するために18年に創設される、新しい少額投資非課税制度です。

 つみたてNISAは、20歳以上の人なら誰でも口座を開設でき、口座内で購入した株式投資信託(ETF=上場投資信託=を含む、以下同じ)の分配金と売却益を非課税とする制度である点は一般NISAと同じです。ただし、一般NISAとつみたてNISAのどちらを使うかは選択制で、一般NISAとつみたてNISAには投資の方法、投資対象となる商品、年間の非課税枠、口座内で株式投資信託を持ち続けられる期間などに違いがあります。

 つみたてNISAの口座開設手続きは、今年の10月から始まっています。一般NISAと同様に、口座開設の際にはマイナンバ-を提示し、本人確認を受ける必要があります。手続きが済んだら、18年1月から積立投資を開始することができます。

 つみたてNISAは、「つみたて」という名が示している通り積立投資専用の制度で、その投資の方法は、例えば毎月10日にAファンドを2万円分など、あらかじめ買い付ける「時期」、「銘柄」、「金額」を定めた定期的な買付けに限定されています。つみたてNISAの非課税枠は年間40万円ですが、一度にAファンドを40万円買い付けるといった「一括投資」は認められません。

 一般NISAで購入した株式投資信託を口座内で持ち続けられる期間は最長5年間ですが、つみたてNISAでは最長20年間持ち続けることができます。また、つみたてNISAでの株式投資信託の新規買付けも18年から37年までの20年間行えることが決まっています。

 37年に株式投資信託を購入した場合、そこからまたさらに最大20年間口座内での保有ができるわけですから、つみたてNISAの制度は56年まで継続することが決まっている、非常に息の長い制度です。

投資対象となるのは「積立投資」に向く株式投資信託・ETFのみ

 つみたてNISAのもう一つの大きな特徴は、投資対象が積立投資に向く株式投資信託やETFに絞られていることです。まず、個別株についてはつみたてNISAの投資の対象外です。

 株式投資信託やETFについても全銘柄が対象になるのではなく、「定期的に継続して取得することにより個人の財産形成が促進されるもの」として 金融庁が定めた条件をクリアしたものに限定されています。

 主な条件は、以下の3つです。

(1)20年以上の投資に向く商品であること

(2)手数料が明確、かつ一定以下であること

(3)投資対象は株式を含み、かつ十分に分散していること

 これらの条件を満たした株式投資信託やETFは、金融庁のホームページに一覧が公開されており、全部で114銘柄(17年10月13日現在)です。証券会社や銀行などはこれらの中から取り扱う商品を選びますが、現在のところつみたてNISAを取り扱う証券会社や銀行の多くは取り扱う商品数を10銘柄以下に絞り込んでいるようです。

購入できる商品の種類が少ないのは悪いこと?

 つみたてNISAは、個別株への投資ができなかったり、投資できる株式投資信託の種類が限られているため、投資経験者にとっては使い勝手が悪い制度のように思うかもしれません。

 ですが、まだ一度も株式や株式投資信託に投資したことのない投資未経験者の目線に立つと見方は変わります。一般NISAの加入申し込みをした人のうち約4割は、口座を開いたはいいものの口座内で一度も株式や株式投資信託を購入していません。この原因の一つには、「どの株式や株式投資信託を買ったらいいのか選べない」という事情もあるのではないかと思います。

 一般NISAでは上場株式・上場REIT・株式投資信託・ETFの原則全銘柄が対象です。選択肢は上場株式だけでも3000以上あります。これに対して、つみたてNISAでは、取扱金融機関によっては取扱商品数を10種類以下に絞っているところもありますので、3,000種類の中からは選べなくても10種類の中からなら自分に合った投資対象を見つけることができるかもしれません。

 また、つみたてNISAで買付けできる金額は、毎月投資を前提とすると、40万円を12で割った月3万3333円が上限です(※非課税枠が4円、使い切れずに余ります)。月と年で単位が違いますが、一般NISAの120万円と比べると、つみたてNISAの月3万3333円はぐっと身近な金額に感じませんか。

 このように、つみたてNISAは投資初心者に対して、選びやすくはじめやすい印象付けが行われている制度と言えそうです。

初めて投資する人、年40万円以内で投資する人はつみたてNISAを

 20歳以上の人が使えるNISAは一般NISAのほかにもつみたてNISAも利用でき、どちらを使うかは選択制です。これまで一度も株式や株式投資信託を購入したことがない人や、投資できる金額が年40万円以内に留まる人はつみたてNISAの利用をおすすめします。

 個別の株式への投資に興味がある人や年40万円を超える金額の投資ができる人は一般NISAの利用をおすすめします。

 次回は20歳未満の人が使えるジュニアNISAについて解説します。

(※マネー講座は随時更新。次回も「NISAを学ぶ」をテーマに掲載します)

【プロフィル】是枝俊悟(これえだ・しゅんご)

大和総研金融調査部研究員
2008年大和総研入社。証券税制を中心に、税・社会保障制度等の分析を行う。著書に、『NISA、DCから一括贈与まで 税制優遇商品の選び方・すすめ方』(2016年、近代セールス社)など。

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