【マネー講座】《NISAを学ぶ》(4)〈ジュニアNISA〉教育資金の準備に使える

 

 NISAを使って株式や株式投資信託に投資した場合、投資によって得た配当・分配金、譲渡益が非課税となります。NISAには「一般NISA」(2014年に創設された元々のNISA、以下同じ)、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」があり、それぞれ利用できる人や限度額、対象商品などが異なります。今回は、ジュニアNISAについて解説します。(大和総研 是枝俊悟)

ジュニアNISAは20歳未満の人のための制度

 一般NISAとつみたてNISAは20歳以上の人を対象とした少額投資非課税制度でしたが、ジュニアNISAは20歳未満の人が対象の少額投資非課税制度です。

 ジュニアNISAでは、20歳未満の子どもが親や祖父母などから贈与された資金などを使って、株式や株式投資信託などに投資を行うことができます。ジュニアNISAの口座内で保有する株式や株式投資信託の配当・分配金、譲渡益が非課税となります。投資対象商品は、一般NISAと同様で、個別株も対象になります。

 もっとも、子どもが自ら投資対象の選別や売買の判断などを行うことは難しいでしょうから、運用管理は原則として親権者(親)が行います。

 一般NISAとつみたてNISAは1年単位で口座を開設する金融機関を変えることができますが、ジュニアNISAは23年までの制度実施期間を通じて金融機関を変更することができません。

一度入れた資金は18歳まで原則引出せない

 ジュニアNISAの大きな特徴として、口座に入れた資金について原則18歳まで引出しが禁止されることがあります。

 ジュニアNISAの口座内で買い付けた株式や株式投資信託を売却するのは自由ですが、売却代金は「課税未成年者口座」という専用口座で管理され、口座開設者の子どもが18歳となる学年(高校3年生)の12月末まで引出しが原則禁止されます。翌年の1月から引出しが解禁され、ジュニアNISAで運用して増やした資金を、例えば大学の入学金や授業料等に充てられる制度設計になっています(※ジュニアNISAはあくまで引出し時期の制限があるだけで、引出した資金の使途の制限はありません)。

 引出し制限の解禁前にどうしても引出したい場合は、ジュニアNISA口座を廃止して全額引出すこともできますが、この場合、ジュニアNISAの口座開設時から得た配当金と譲渡益の全てについて非課税のメリットが失われ、遡及課税の対象となります。ジュニアNISAを使って運用する際には、その資金は本当に18歳まで引出せなくなっても大丈夫かを意識する必要があります。

教育資金ではリスクを取った投資はしない方がよい?

 教育資金の準備というと、なるべくリスクを取った運用は避けた方がよく、給付額の確定している学資保険などが候補に挙がることも多いものと思います。

 確かに、子どもが来年大学進学を控えているというときに、大学授業料に充てるべき資金を株式や株式投資信託で運用するのは適当ではないと思います。しかし、まだ子どもが8歳や3歳のとき、10年後や15年後の大学授業料に充てるお金についても、本当に価格変動リスクを取った運用をすべきでないと言えるでしょうか。

 この点を考える際、参考になるのは、大学授業料の推移です。次の図表は、東京都区部の法律・文学・経済関連の学部の大学年間授業料(平均値)の過去40年間の推移です。

 過去40年間、大学授業料はほぼ右肩上がりで推移してきました。1975年時点では国立大学で年間3万6000円、私立大学でも年間15万3000円であった大学授業料は、2016年には国立大学でも年間53万5800円、私立大学では年間75万122円まで上昇しました。

大学授業料の増加の背景にあるのは、物価上昇と国からの補助金の削減です。今後の物価や国の文教政策がどのように変わるか(大学無償化が実現するのか否か)は分からない面もありますが、10年後、15年後を見据えると、大学授業料が現在より大きく上昇している可能性も十分に考えられるのです。

 今後、ある程度の大学授業料の上昇を見込むのであれば、給付額が確定している学資保険以外にも、ジュニアNISAを通じて株式や株式投資信託で投資を行い、大学授業料の上昇についていけるだけの運用成果を目指すことも有効と考えられます。

親の一般NISAとつみたてNISAでの運用も選択肢

 子どもの教育資金の準備は、親の一般NISAまたはつみたてNISAの口座を使って準備することも可能です。親の一般NISAやつみたてNISAを使う場合、引出し制限がないので、いざという時に引出せるという面ではジュニアNISAを使うより便利だとも言えます。

 ただし、子ども名義の口座となり18歳まで引出しが原則禁止されるのも、ある意味ではジュニアNISAのメリットと言えそうです。子ども名義のジュニアNISAの口座にはなるべく手をつけたくないという、「心理的な歯止め」になることが期待できるのです。

(※マネー講座は随時更新。次回から「iDeCoに注目」をテーマに掲載します)

【プロフィル】是枝俊悟(これえだ・しゅんご)

大和総研金融調査部研究員
2008年大和総研入社。証券税制を中心に、税・社会保障制度等の分析を行う。著書に、『NISA、DCから一括贈与まで 税制優遇商品の選び方・すすめ方』(2016年、近代セールス社)など。

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