電力先物取引がスタート 東商取、脱赤字へ“稼ぎ頭”期待
電力先物取引の成功は最終赤字が常態化しつつある東京商品取引所にとって必達目標といえる。10月に日本取引所グループ(JPX)との経営統合、来年7月に総合取引所構想の実現を控え、東商取は赤字体質脱却に向けた正念場を迎えている。注目の商品を上場させることで、取引を活発にするのが狙いだ。
新規上場は昨年10月の天然ゴム以来。東商取のラインアップは電力先物4商品を含めて31商品に広がった。
電力は需要予測に応じて供給されるため、先物市場の方が現物市場よりも価格変動リスクが小さい。自前の発電所を持たない新電力も、先物取引によって電力調達の価格変動リスクを抑えることが可能となる。
「電力先物の上場は東商取にとって総合取引所への脱皮の第一歩だ。これが成功すれば、液化天然ガス(LNG)や石炭の上場の道も開ける」。商品アナリストの小菅努氏はこう指摘する。
東商取は2019年3月期まで4年連続で最終赤字に陥った。自己資本比率も低下し続けている。東商取は来年7月、貴金属と農産物、ゴムの商品先物を大阪取引所に移し、エネルギー関連に特化する。それだけに電力先物には、“稼ぎ頭”としての期待がかかる。
サウジアラビアの石油施設攻撃による原油価格高騰の影響で、電力先物の初取引は成立しないことも懸念されたが、17日は無難なスタートを切った。東商取の浜田隆道社長は「長期的に経営を安定させるため、先物取引を使うビジネスはだんだん浸透していくのではないか」と話す。
本上場実現の暁には、東商取は電力先物市場を個人投資家にも開放することを想定する。ただ、大手の電力会社は電力先物に慎重なままで、試験期間中にどれだけ実績を積めるかは未知数だ。(米沢文)
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