海外情勢

3Dプリンターで本格“肉” イスラエル社「本物と区別は不可能」

 3Dプリンターで作る肉汁滴るサーロインステーキが今年、レストランのメニューにお目見えする。「どうしても動物の肉でなければ」という「肉食派」をも急成長の植物肉市場に引き込みたい企業の狙いがある。

 イスラエルのリデファイン・ミートは、3Dプリンターで複製したヒレやランプ、ブリスケット(肩バラ肉)などの牛肉を同国内や欧州、アジアのレストラン向けに売り出す。2900万ドル(約31億4600万円)を調達して大規模な試作工場を建設。年内に販売を開始する計画だ。

 同社は風味については引き続き改良を進めているが、3Dプリンターに植物由来の素材を「インク」として充填(じゅうてん)し、複雑な筋肉や脂肪の層を複製することで狙った食感を出し、何度でも肉を作り出すことが可能だ。エッシャー・ベン=シトリット最高経営責任者(CEO)は「『おいしいのは動物の肉だけ』という思い込みを覆したい。そのために必要なものは全てそろえた。現在の開発段階で“当社の肉”と本物の牛肉を区別することは不可能だ」という。

 環境や健康への関心が高まる中、植物肉のバーガーやナゲットなどの消費が拡大し、ここ数年、代替タンパク質の需要は膨らんでいる。植物肉が従来の肉に張り合うには味や価格でさらなる改良が必要なものの、ベンチャーキャピタルに加え、スイスのネスレや米マクドナルドなどの食品大手も触手を伸ばしている。

 リデファインは極上の牛肉と同じ味わいを感じられる植物肉で一つ上を目指しているが、2月にはイスラエルの別のスタートアップ、アレフ・ファームズが、細胞の培養による世界初の「家畜を殺さない」リブアイステーキをお披露目した。他にも、スペインのノバミートのジュゼッペ・シオンティCEOによると、同社は資金調達で生産規模を拡大し、欧州のレストランに向けた3Dプリント技術による植物肉の販売を年内に開始する計画だ。

 オランダの調査会社ディールルームのデータによると、リデファインが今回の資金調達ラウンドで得た資金はシリーズA(事業を本格的にスタートする段階での調達)としては代替タンパク質を手掛けるスタートアップ企業で最大だった。(ブルームバーグ Agnieszka de Sousa、Ivan Levingston)