菅氏が官僚機構に不信を抱き、セカンドオピニオンを求めるために3月中に次々と6人もの内閣官房参与を任命したことには、当時からメディアで「船頭多くして船山にのぼる」という批判が強かった。この点について枝野氏は事故調に「常に『やめた方がいいですよ』と止めていました」と証言した。官邸中枢スタッフもこう述べている。
「何の責任も権限もない、専門知識だって疑わしい人たちが密室の中での決定に関与するのは、個人的には問題だと思う」
菅氏が原発事故の初期段階以降も他の閣僚や事務レベルに適切な権限委譲を行わず、引き続き直接的な関与を続けたことへの批判も指摘されている。
「(政府と東電の)統合本部の士気を低下させるから、なるべく菅さんが出てこないように言ってほしいと何人かから頼まれた」
これは官邸スタッフの言葉だ。同様の証言は報告書を待つまでもなく、当時から枚挙にいとまがない。
報告書は「菅首相の個性が政府全体の危機対応の観点からは混乱や摩擦の原因ともなったとの見方もある」と指摘する。ただ、これは「前首相」に一定の配慮を示した控えめの表現だろう。(阿比留瑠比)