東日本大震災で農林水産業は大きな被害を受け、これまでに集計された被害額は2兆4000億円を超えた。農林水産省の推計では、津波をかぶった農地の除塩は必要な面積の36%、漁船の復旧は被災前の26%など、発生から1年がたっても、復旧は大きく進んでいない。一方、東京電力福島第1原発事故で農林水産物輸出に急ブレーキがかかっており、9日現在でなお47カ国・地域が日本の農産物や食品に対して輸入規制を敷いている。
被害額の内訳は、今月5日時点で農林業関係が1兆1631億円、水産業関係が1兆2637億円。農業では、宮城など6県で約2万1480ヘクタールの農地が津波で被災。営農を再開するには除塩作業が必要だが、作業中のものも含め、除塩を行ったのは今月1日時点で36%に相当する7820ヘクタールにとどまっている。政府は、2014年度までに被災農地の約9割での農業再開を目指している。
最も被害が大きい水産業では、被害の大きかった9漁港を除く310漁港で水産物の陸揚げが可能になったが、3県の被災水産加工施設のうち業務を再開したのは417施設と、全体の50%だけだ。
一方、農林水産業は、原発事故の影響を大きく受けた。東電への賠償請求では、請求額の66%に相当する1196億円が今月1日までに支払われた。また、拡大傾向にあった農林水産物の輸出額を震災発生後の11年4~12月でみると、前年同期比11%減の3311億円。規制が厳しい中国向けはコメ輸出がゼロになるなど、44%減となっていた。
規制を撤廃したのはカナダなど4カ国にとどまっている。農水省は「各国への要請を繰り返し、緩和の動きを早めたい」(幹部)としているが、道のりは険しい。