事実、安倍晋三総理の経済政策「アベノミクス」期待で円安が進んだ昨年12月の経常収支は2641億円の赤字と、12月単月として初の赤字となり、初めて2カ月連続の赤字となった。円安効果が輸出を促すより前に輸入金額が上がったというわけだ。
さらに、日本企業は昨年11月までの円高局面を受け、国内生産を縮める一方で、海外の消費国で生産する地産地消型のモデルに急速にシフトした。産業構造が変わる中で「経常収支の縮小は今後も続く」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)との見方は根強い。
日本経済が稼ぐ力を取り戻すには、規制改革や民間の活力を引き出す成長戦略の早期の実行が不可欠。新エネルギーや医療機器といった競争力のある製品領域の強化で経済体質を強めることが“貿易立国・日本”復活の鍵を握る。(今井裕治)