原子力発電については、11年の東日本大震災時に発生した福島第1原子力発電所の事故の影響もあって反対が根強いが、フィリピン政府は「研究をやめるべきではない」としており、選択肢として検討中との立場だ。
同国は送電網に組み込まれていない集落が3万2441カ所存在するなど電力インフラが未発達なうえ、電気料金は東南アジア地域でもっとも高いといわれており、電力分野が経済成長の阻害要因のひとつとされる。
日本の国土交通省によると、同国の03年の世帯当たり電力普及率は77.1%。マニラ首都圏が99.1%だった一方、最も低いミンダナオ島のムスリム・ミンダナオ自治区では31.7%にとどまっていた。
フィリピンの電力分野には日本から東京電力や中部電力をはじめとする電力会社のほかに住友商事や丸紅といった大手商社などが進出し、発電所建設やバイオ燃料開発に関わるなど、両国の関係は深い。
ここ数年は、韓国や中国からの進出も増えているほか、地場のサンミゲルやアヤラ・グループといった巨大複合企業も投資を増やしており、今後、国内外の企業が入り乱れての電力開発が加速しそうだ。(シンガポール支局)