黒田日銀に「危うさを感じる」と懸念 白川総裁が退任会見

2013.3.20 05:00

退任の記者会見をする日銀の白川方明総裁=19日午後(宮川浩和撮影)

退任の記者会見をする日銀の白川方明総裁=19日午後(宮川浩和撮影)【拡大】

 日銀の白川方明(まさあき)総裁が19日、退任した。後任の黒田東彦(はるひこ)新総裁らが唱える、市場の期待に働きかける金融政策については「市場を思い通りに動かすということなら、危うさを感じる」と語った。一方、デフレ脱却を果たせなかった自身の政策運営の評価は「第三者が行うべきだ」と具体的な言及は避けた。

 白川氏は「黒田日銀」に対して「円安株高が進行し、マインドが改善傾向にある。競争力と成長力の強化に向けた議論も始まっている。チャンスを生かし、適切な政策運営をすることを期待する」と語った。

 黒田新総裁は国会での所信聴取で、「金利引き下げ余地が乏しい中では、市場の期待に働きかけることが不可欠」と指摘。これに対し、白川氏は「期待に働きかけるという言葉が、中央銀行が言葉によって市場を思い通りに動かすという意味ならば、そうした市場観や政策観に私は危うさを感じる」と懸念を示した。また、日銀はデフレ脱却に向けて2%の物価上昇率目標を導入したが、金融緩和で世の中への資金供給量を拡大することと、物価上昇との間の「関係は断ち切れている」と指摘。「資金供給量を拡大する量的緩和を進めないといけない」とする岩田規久男新副総裁の主張を牽制(けんせい)した。

 一方、白川氏は、リーマン・ショックや東日本大震災に見舞われた任期中を「激動の5年間」と振り返った。「他の8人の政策委員とともに、その時点でのベストを尽くした」などと強調したが、自己評価に踏み込むことはなく、歯切れの良さはなかった。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

毎日25分からのオンライン英会話。スカイプを使った1対1のレッスンが月5000円です。《体験無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

サンスポ予想王TV

競馬などギャンブルの予想情報を一手にまとめたサイト。充実のレース情報で、勝利馬券をゲットしましょう!