安倍晋三首相【拡大】
また円安は一部の輸出企業の利益を押し上げている半面、輸入に頼る食料品やエネルギーといった生活必需品の値上がりを招く。設備投資がマイナス基調を抜け出せなかったのは、こうした「アベノミクス」の負の側面が景気を冷やしかねないと企業が警戒し、事業拡大にアクセルを踏みきれなかった格好だ。
安倍政権は次の4~6月期のGDPの結果を、消費税率引き上げの重要な判断材料とするとしている。
東京証券取引所に上場する企業の25年3月期決算の最終利益は、全体で前期比3割増になる見通し。過去最高益を記録する企業も多く、今期も増益基調が続くとみられている。政府が6月にまとめる新しい成長戦略が、こうした民間の動きを後押しし、本格的な景気回復に結びつけられるかどうか。「アベノミクス」は正念場を迎えている。