国土交通省は29日、四半期ごとの全国主要都市の地価動向報告(4月1日時点)を発表した。全国の商業・住宅地計150地点のうち、前回調査(1月1日時点)に比べ、地価が上昇したのは80地点(全体の53.3%)に上った。上昇地点が過半数を占めたのは2008年1月1日時点の調査以来、約5年3カ月ぶりという。
同省は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」による異次元の金融緩和策などが刺激材料となり、三大都市圏中心に地価の上昇傾向に転じたとみている。
前回調査に比べ、全国150地点で、上昇地点は29地点増の80地点だったのに対し、横ばいが23地点減の51地点(全体の34%)、下落が6地点減の19地点(同12.7%)。大阪、名古屋両圏で下落地点がなくなった。
地点別では、世界一の電波塔で観光名所になった「とうきょうスカイツリー駅」周辺(東京都墨田区)と、14年完成の日本一高いビル「あべのハルカス」がある大阪・阿倍野地区(大阪市阿倍野区)の2地点が、鉄道各社の再開発を背景に3~6%前後の高い上昇率を示した。
このほか、住宅地で佃・月島(東京都中央区)、商業地で東京駅に近い八重洲(同)や大手町(同千代田区)などで地価が上昇に転じた。同省は「低金利やアベノミクスを背景に東京、大阪を中心に利便性の高い地域で投資意欲が高まった」(地価調査課)と分析している。