〈北方領土の帰属問題が解決されない中、現地ではロシア政府によるインフラ整備が進み、外国系企業が地熱・風力発電事業を受注するなど実効支配が強まっている。このことについての両首脳の考えは〉
モスクワのクレムリンで4月29日に行われた日露首脳会談後の共同記者会見で、こんな趣旨の質問をしたTBS記者がインターネット上で猛批判を浴びていると聞いた。
確かに日本の動画サイトには「空気を読めないTBSにキレるプーチン(露大統領)」といった投稿があり、記者擁護の意見がある一方、分断を図る工作員であるかのような書き込みも多かった。
だが、この記者会見では露当局が質問数を日露各2問に制限したため、TBSの記者は日本側メディアの取りまとめを代表質問したにすぎない。マスコミ批判は大いに結構だと思うが、攻撃は不当であると、火中のクリを拾うつもりで指摘しておきたい。
そもそも、この記者会見でこうした質問が出なかったら、その方が問題ではないだろうか。
プーチン氏は「(領土問題解決を)妨げたいなら、厳しい質問を続け、厳しい回答を得るだけだ」といらだちを見せた。プーチン氏こそ、日本側の世論の厳しさや、民主主義国の記者が投げる質問の厳しさを理解すべきだ。(遠藤良介)