3月の全国人民代表大会で副首相から昇格した李氏は、統計数字稼ぎと批判された地方の無駄なインフラ建設、需給バランスを無視した生産能力過剰の製造業、不動産投機などへの金融機関の融資にメスを入れた。だが、江沢民元国家主席を頂点とした「上海閥」や、習近平国家主席に代表される党幹部子弟らの「太子党」、それに連なる地方の共産党組織や政府幹部らが持つ既得権益と対抗せざるを得ず、リコノミクスは権力闘争の嵐にも巻き込まれる。
他方で、リコノミクスの動向を示す「克強指数」なる指標が地元紙に登場した。輸出入や消費、投資額などの代表的な統計を使わず、「電力消費」「鉄道貨物取扱量」「銀行融資」の3統計を並べただけで指数化はされていない。3月から6月までの数値は電力消費で工業用が4月に特殊要因で突出した以外、傾向として右肩上がりが見て取れる。実はこの克強指数は、内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米外交公電に記載されていたという李氏発言が由来だ。