増税の大きな判断材料に位置付けられる8月12日発表の4~6月のGDP速報。民間シンクタンクの予想平均は実質3.03%と堅調で、7~9月には3.2%成長を予測する。日銀は今月11日の金融政策決定会合で決めた景気判断で、2年半ぶりに「回復」の表現を盛り込み、安倍政権下での経済の好転ぶりを印象づけた。
参院選後の3年間、大型の国政選挙がなく、成長戦略による景気浮揚も見込まれる中、政府にとっては増税をやりやすいタイミングであることは間違いない。仮に増税を見送った場合、海外から日本の財政再建が「後退した」とみなされ、国債が暴落して長期金利が上昇し、財政破綻懸念が高まりかねない面もある。
ただ、増税は消費者心理を冷え込ませて、財布のひもを引き締めさせる。世界経済や国内景気の先行きを過大評価して、増税に踏み切れば、景気を腰折れさせる恐れがある。それだけに政権内には予定通りの実施に対する慎重論も根強く、最終判断をつきかねているのが実情だ。