2020年の高所得国入りを目指すマレーシアで家計債務が増えている。増加が続けば経済成長の鈍化につながる恐れがあり、懸念の声が上がり始めた。現地紙スターなどが報じた。
バンクネガラ(中央銀行)によると、同国の家計債務は08年以降、年平均12%のペースで増加。12年末には国内総生産(GDP)比で80.5%に相当する約7550億リンギット(約22兆5970億円)に達した。
英金融大手スタンダードチャータード銀行は、マレーシア人の年収に対する債務比率は182%で、シンガポールの115%、タイの95%などを大きく上回り、アジアで最も高い水準にあるとしている。
世界銀行の予想では今年のマレーシアの成長率は5.1%。堅調な内需が経済を牽引(けんいん)するとみられているが、債務返済の負担増は消費低迷につながる恐れもある。
同国の家計債務の内訳は、44.5%が住宅ローン、16.8%が個人融資など。返済が困難になる事例も増えており、中央銀行は先月、住宅ローンの返済期間を最長45年から同35年に、個人融資の返済期間を25年から10年に短縮するなどの対応策を発表した。