シンガポールで各世帯の債務額が膨らんでいる。中央銀行にあたるシンガポール通貨金融庁(MAS)によると、低金利を背景に住宅ローンが急増していることが主な要因。今後、金利が上昇すれば家計を圧迫し、シンガポール経済を支える内需が落ち込む危険性も否めない。現地紙トゥデイなどが報じた。
銀行からの住宅ローン借入額はここ3年間で毎年18%増の拡大を続け、国内総生産(GDP)の46%に達している。借り手の5~10%は返済額が収入の60%以上を占める。
MASのメノン長官は「住宅ローンの大半が変動金利型のため、利上げが実施されれば、毎月の返済額が家計の大きな負担になる」と指摘し、過度の債務に警告を鳴らしている。
英銀大手スタンダード・チャータードの報告によると、シンガポールの住宅ローンを含む家計債務はアジア最大で、債務残高はGDPの75%を占める。事態を重くみたMASは融資に関する規制を導入。金融機関に対し、借り手の毎月の返済額が月収の60%を超える融資を認めないとした。融資増大を防ぐとともに、金利上昇で返済の負担が重くなって個人消費が冷え込むのを食い止めたい考えだ。(シンガポール支局)