現行制度では電力会社は40年間かけて廃炉引当金を積み立て、電気料金で回収しているが、運転終了時に引当金が不足していれば電気料金に上乗せできない損失として不足額を一括計上しなければならない。積立金不足は2012年度末時点で5号機が105億円、6号機が162億円。また、設備の残存簿価は合わせて1564億円に上る。現時点で廃炉を決めた場合、少なくとも1800億円超の損失が出る。
経産省は電力会社が老朽原発などの廃炉を決断しやすくするため年内にも会計制度を変更。運転終了後も10年間は廃炉引当金の積み立てを認め、設備も資産として減価償却できるようにする。いずれも運転時と同様、費用は電気料金に転嫁し、利用者が負担する仕組みだ。
東電の広瀬社長は設備投資の抑制やコストダウンなどで1兆円を捻出する考えだが、経営再建の切り札である柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働は見通しが立たず、コストダウンも限界に近づいている。「今はとにかく頑張るとしかいえない」(東電幹部)のが実情だ。