住宅地の上昇率で全国1位となった大槌町大ケ口。新築住宅の建設が続いている=岩手県大槌町【拡大】
津波被害のなかった同地区には、8月末に70戸の災害公営住宅が完成し、被災者の入居が進む。同じ地区内に約20戸の公営住宅の整備も計画されており、自力での住宅再建を希望する被災者も集中している。
被災地の地価上昇について、岩手県地価調査岩手分科会の代表幹事、横田浩さんは「震災後に下落した価格が本来のレベルに戻った」と指摘する。ただ、実際の取引価格は、この「本来のレベル」を大きく上回る。
津波被害を免れた町内の区域は、震災前は1平方メートル当たり2万円程度と、基準地価とほぼ同額で取引されていた。しかし、現在は約3万円に上昇。個人間の取引の場合は、約5万円と震災前の2倍以上の高値で売買されることもあるという。
こうした地価高騰は資産価値の上昇という意味では朗報だが、被災者の生活再建にはひずみも生じる。