◆経済統合に希望
ASEAN諸国は世界2位のシンガポールから、139位のミャンマーまで大きな幅があるものの、全体としては順調に競争力が伸びており、15年のASEAN経済統合に向け「希望の持てる傾向を維持している」という。特に、ASEANで人口が多いインドネシアが、前回の50位から今回は38位に上昇した。また、マレーシアは24位に付け、アジアの開発途上国の中では競争力が最も高く評価されている。
さらに06年から今年までの競争力ランキングの推移をみるとASEAN諸国の上昇傾向は顕著で、カンボジアはこの7年間で23ランクも順位を上げており、インドネシアとフィリピンも19ランク、最上位のシンガポールが6ランク、それぞれ上昇している。
対照的に、南アジア地域協力連合(SAARC)は、19ランク上げたスリランカを除けば、15ランク下げたインド、28ランク下げたパキスタンをはじめ、競争力の低下が著しく、ASEANの好調ぶりが際立つ。
このほか、今回のリポートは課題となっている域内格差について、ASEAN域内には上位国が「手本」となって下位国を牽引(けんいん)する傾向があると指摘している。例えばシンガポールは汚職が少なく、行政の効率が良いと評価されているが、マレーシアやフィリピンでは、行政改革や汚職撲滅が国際競争力を高めるとの認識のもと、具体的な取り組みが始まったとしている。(月刊邦字誌「プノン」編集長 木村文)