インドネシアは、農業分野に国外からの投資を呼び込むため、灌漑(かんがい)設備の整備を急いでいる。インドネシア農業省によると、同国の灌漑設備は48%が改修の必要な状態にあり、改修にかかる総費用は21兆ルピア(約1785億円)に達する。同省は4年ですべての改修を終える計画を策定済みで、今年は省予算の35%に当たる6兆ルピアを投じる予定だ。現地紙ジャカルタ・ポストが報じた。
ススウォノ農相によると2008年から12年まで同国の農業分野への投資額は、国内からが29億2000万ドル(約2850億円)、国外からが35億8000万ドルだった。国外からの投資は、金額で国内からを上回るものの、国外からの投資総額に占める割合では4.2%と、国内投資の12%を大きく下回る。
同相は、12年の国内総生産に占める農業分野の割合は14.4%とサービス・工業分野に次いで2番目だと指摘。「インドネシアが農業国だという実態が国外からの投資に反映されていない」と述べ、今後は呼び込みに注力するとの考えを示した。
同国の農業分野は灌漑設備や輸送網などインフラの未発達や、土地取得の難しさ、統計の不足などにより国外からの投資が停滞しているとされる。このため、農業省は灌漑設備の改修を最重要課題と判断、予算投入を決定したもようだ。(シンガポール支局)