政労使会議を終え、記者団の質問に答えるトヨタ自動車の豊田章男社長=17日午後、首相官邸【拡大】
デフレ脱却と景気回復に向け、安倍政権は、企業収益拡大→雇用・賃金への波及→消費増大→企業収益拡大という「景気の好循環」を目指す。すでに、円安による輸出採算の改善などで、企業収益の拡大が見込まれている。
それでも経営サイドは、国内の需要拡大が望めないことや、国際的には海外企業との競争が強まっていることから、賃上げ、特にベアに対して根強い抵抗がある。業績回復は一時金(ボーナス)増額で応じるスタンスだ。ただ、来年4月の消費税率引き上げで物価が上昇し、所得が安定的に増えなければ、再び消費が低迷してデフレ脱却が遠のく懸念もあり、早急な賃上げの合意形成が必要だった。
今回、春闘相場の形成役となるトヨタ、日立から、ベアを含めた賃上げへの一定の理解を取り付けたことで、産業界では賃上げの動きが広がりそうだ。