■インフラ整備、人材育成に日本の協力期待
安倍晋三首相は、来月にもカンボジア、ラオス両国を訪問、就任以来1年で東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の訪問を果たす予定だ。12月には日ASEAN首脳会議なども行われるのを前に、ホー・モニロット駐日カンボジア大使に、現状と日本への期待などを聞いた。
◆社会福祉発展が課題
--7月の総選挙後、野党のデモなどもあったが、現在のカンボジアの政治・社会状況は
「カンボジアでは5回目の総選挙だったが、フン・セン首相が再選を果たし、行政の継続性は維持された。選挙では与党の議席が93から68にまで減った。政府の立場としては、このような結果を受けて、社会福祉をいかに発展させるかということが課題だ。野党の反発は、とくに若い民主主義国家では、どこの国でもある出来事だ。政府としては国民の生活向上のため、賃上げなどを実現するよう努めていく計画だ」
--デモなどの混乱は収まったのか
「法律に基づくデモは認められるが、町に流れ込むデモは禁止されており、町中の安全は確立されている」
--経済の現状は
「経済は年率7%ぐらいの成長があり、2015年の市場統合まで成長を続けることができるだろう。政府としては30年に中所得国、50年には高所得国を目指すという目標がある」
--経済成長を続けるには、インフラ整備、特に電力整備などが課題だ
「電力不足解消は、重要な問題だ。今年中には新たな水力発電所が稼働する。政府としては30年までに国民の70%に電力供給できるように目指している。今回の発電所建設では日本企業が参加しなかったが、今後のインフラ整備には日本の参加を期待したい」
--日本からの投資・企業進出について、どういう分野への投資を期待するか
「カンボジアの現状からすれば、どの分野でもいい。ただ、縫製業は単純作業だ。日本の機械産業が入れば、技術力を高めることができる。そうすれば熟練工が育つ。人材育成面での協力も期待している」
◆汚職撲滅にも全力
--投資の問題点として、賄賂など汚職の問題も指摘されているが、対策は
「汚職は、カンボジアだけにあるわけではないが、カンボジア政府としては、汚職は社会のがんとみなし撲滅に乗り出している。政府は汚職対策局を設置し、最近では日系企業から不正に機械を没収した税関職員が逮捕されるなどしている。投資環境整備のため、汚職撲滅は重要課題だ」
--安倍首相が進める対ASEAN外交について、どう評価するか
「安倍首相のASEAN歴訪が11月のカンボジア、ラオス訪問で完成する。これはASEANの地政学的な重要性について、日本が認識していることの表れだと思う。われわれは、いわゆるアベノミクスによる日本の経済成長も歓迎している。日本の繁栄は、ASEANの発展につながっている」
--首相のASEAN歴訪は中国包囲網づくり、対中牽制(けんせい)という色彩が強い。中国と親しいとされるカンボジアでは、どう受け止めるか
「中国に対する政策をいうなら、どこの国も異なる立場がある。ただ、立場が異なっていても、いかに平和的に問題を解決するかが重要だ。中国の政治宣言や日本の政治宣言をみても、日中の関係は切り離せない緊密な関係となっていると思う」
--日本企業の関心が高いミャンマーの今後をどうみるか
「ASEANは内政不干渉が原則だが、ミャンマーでは今後も民主化が進むのは確かだ。民主主義が進むと同時に国の統合を維持することも重要だ。ミャンマーの経済状況は15年前のカンボジアと同じぐらいだといわれるが、開発は進むだろう」(編集委員 宮野弘之)