東京電力の広瀬直己社長が28日、原子力規制委員会の田中俊一委員長と面談したが、柏崎刈羽原発(新潟県)の安全審査については触れられなかった。規制委は「当面凍結」の方針とみられ、原発再稼働のめどが立たなければ、東電の再建に赤信号がともる。銀行融資の継続に向けて、電気料金の再値上げが一気に現実味を帯びそうだ。
「東電が(福島第1原発の)現状をどう改善するか見ながら考えていきたい」
面談に同席した原子力規制庁の池田克彦長官は報道陣にこう説明し、柏崎刈羽の安全審査を当面凍結する方針を示した。
東電と政府が昨年まとめた総合特別事業計画(再建計画)では、柏崎刈羽は今年4月から順次稼働するはずだったが、動いている原発は今もゼロだ。
火力発電に頼った結果、2012年度の販売電力量1キロワット時当たり燃料費は10.37円と震災前の10年度から倍増した。
東電は9月末に柏崎刈羽の再稼働に向けた安全審査を申請。これを受けて金融機関は、10月末に返済期限を迎える約770億円の融資について借り換えに応じる意向を伝えた。
ただ12月にはさらに2000億円の借り換えと3000億円の追加融資が予定されており、金融機関は、その条件として「14年度以降の収益改善」を求めている。
東電は11月中に新再建計画を策定し、14年度前半の再稼働を明記する心づもりだった。しかし再稼働のめどが立たなくなれば、収支改善のため「再値上げ論」が急浮上するのは必至だ。新再建計画を銀行に提示するまでの猶予は1カ月。新再建計画に再稼働と再値上げのどちらの文言を載せるのか…。東電は、厳しい選択を迫られることになった。(藤原章裕)