出口戦略の進展を見越して新興国からは投資資金が流出しているが、今後もその傾向は続くはずだ。そのことに関してはFRBのバーナンキ議長も懸念を示しているが、新興国が抱える問題については、資金流出を止めれば解決するわけではない。
新興国が抱える問題とは経済成長率の鈍化である。経済が成長して国民生活が豊かになるにつれ、国民はさらなる生活の向上を望み、賃金アップを要求する。そのため、世界の工場として君臨していた中国沿海部の賃金は、あと数年で米国南部の賃金に匹敵するところまで上昇しており、それがまた経済成長の足を引っ張るという負の連鎖に陥る。新興国の中でも、5年のタームで見ると中国、ロシア、ブラジルが危ない。中国とロシアは政治崩壊による混乱の恐れが強く、ブラジルはバブル崩壊の危機にある。リオデジャネイロオリンピックの開催にすら、影響が出るかもしれない。
また、欧州危機は沈静化したように見えるが、各国が抱える財政危機は水面下で拡大しているので、再燃することは間違いないだろう。欧州危機を救うためにはドイツが資金を提供するしかないが、9月のドイツ連邦議会選挙(総選挙)の勝利で国民の税金を危機国に投入することに消極的なメルケル首相が3選された。