低迷するインド経済に回復の兆しがみえつつある。インド商工省の発表によると、同国の主要8産業の9月の成長率が、前月の3.7%から8%に上昇。インフラ産業が回復傾向を示し、景気はようやく底を打ったとの声も出始めている。現地紙エコノミック・タイムズなどが報じた。
主要8産業とは石油、石炭、石油精製、鉄鋼、セメント、天然ガス、化学肥料、電力で、鉱工業生産指数(IIP)に与える影響も大きい。
なかでも電力が12.6%、石炭が12.5%、セメントが11.5%と2桁の成長率を示しており、建設業や投資に勢いが戻りつつあるとの見方もある。
一方、インドの調査会社クリシルのチーフ・エコノミストは、9月の成長率は予想外に高かったと指摘。「資源分野の成長率は不安定で、景気が上向いたとはまだ言い切れず、向こう数カ月間は推移を見守る必要がある」としている。
電力に関しては、西部マハラシュトラ州や北部パンジャブ州で新しい水力発電所が稼働し、モンスーン期に雨量が多かったため発電量が増した。また、セメント需要は毎年、ヒンズー教の最大のお祭りディワリ(今年は11月初旬)を前に増加することなど季節的な要因が成長率を押し上げたとの見方もある。
昨年9月の同成長率も8.3%と高い数字を示しながら、その後減速傾向をたどったこともあり、このまま、今年の主要産業の成長が回復軌道に乗るかどうか、今後の動向が注目される。(ニューデリー支局)