政府が、国民の窓口負担などで賄われる診療報酬を平成26年度改定で6年ぶりに引き下げる方針を固めたことが27日、分かった。診療報酬の「薬価部分」を減額し、医師の技術料となる「本体部分」を調整して実現する。複数の政府・与党幹部が明らかにした。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)も引き下げを要請する見通しで、プラス改定を求める日本医師会や自民党関係議員らが反発を強めそうだ。
政府は、来年4月から消費税率が8%に引き上げられるのに加え、27年10月は10%への再引き上げが予定されていることから、「プラス改定で窓口の支払いや保険料が増額されれば、国民にとってダブルの負担となり、理解は得られない」(高官)とし、マイナス改定の方向で調整に入った。
また、厚生労働省の「医療経済実態調査」で、民間病院の24年度の平均収支は7621万円の黒字(前年度比215万円増)、勤務医の平均収入も1590万円(同43万円増)となったことが判明。政府は、民間病院の経営状況が良好にもかかわらず、新たな国民負担を強いるのは難しいとも判断。今後、与党や厚労、財務両省との折衝を加速化させ、年末の26年度予算編成で具体的な改定率のマイナス幅を決定する。
ただ、「本体部分」は、備品購入時の消費税分を患者に転嫁できない医療機関の負担を軽減する必要性から田村憲久厚労相が引き上げを目指しており、増額される可能性もある。
診療報酬をめぐっては、安倍晋三首相が15日の経済財政諮問会議で「あり方をはじめ、社会保障の歳出の合理化に最大限取り組む」と引き上げに慎重姿勢を示した。麻生太郎財務相も診療報酬の「薬価部分」を引き下げた分、「本体部分」を増額する従来の改定手法に難色を示していた。
こうした政府の動きに対し、自民党の厚労関係議員らでつくる議員連盟「国民医療を守る議員の会」が150人規模で発足。プラス改定に向けて結束し、反発を強めている。
過去の自民党政権の診療報酬の改定は、構造改革を断行した小泉純一郎首相が14、16、18年度の3回とも「本体部分」を減額か維持にとどめ、いずれも全体をマイナス改定とした。福田康夫政権は20年度で「本体部分」をプラスにしたが、全体はマイナスにした。一方、民主党政権下で行われた22、24年度の改定は、診療報酬全体が増額された。