さらに週3回の無料の日本語教室や福利厚生などにも力を入れる。こうした結果、工員の離職率は1%以下。他の工場に比べても圧倒的に低い。
当初は日本の製造工程の一部を担う形だったが、10年経って高度な熱処理など最終工程も行うようになり、ベトナムで完成品まで製造できるようになった。
さらに、ベトナム工場ならではの工夫もある。「一個流し」と呼んでいるもので、一つの部品を作る際、作業工程ごとに検査を行うもの。流れ作業だと不良品が出た場合、ライン全体を止めないとならない。一個流しは、そうしたリスクを減らすためにベトナムで始めたものだ。
こうしたベトナムならではの取り組みに加え、中村社長を支えるグエン副社長の存在も大きい。大阪大学を出て日本の金融機関で働いていた彼女は、従業員を大事にする石崎会長の考えに同調して入社した。
「ベトナム人は個人主義で、もともとチームワークという考え方はありません。我が社ではマネージャーの会などで企画を作ったり、連携を広げたりしています」と、グエン副社長は話すが、日本とベトナムの双方をよく知る同副社長の存在が、タカコの成功の大きな鍵といえそうだ。
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□クイッククイック
■事務用品需要取り込み
ベトナムに進出する日系企業にとって、オフィス用品、とくに文房具をそろえるのは容易ではない。
日本ではオフィス用品の通信販売が盛んだが、ベトナムで同様の事業を立ち上げ、一人勝ち状態なのが、「クイッククイック(ベトナム名ニャンニャン)」だ。