29日の財政審の建議が、強い表現で歳出抑制を求めた背景には、財政再建への取り組みを急がなければ、近い将来、国民生活に深刻な影響を及ぼしかねないとの危機感がある。
今年度の一般会計予算は歳出総額が92.6兆円に対し、税収は43.1兆円と歳出の半分に満たない。歳出と税収のギャップはバブル崩壊後の景気低迷で拡大し、国は毎年、赤字国債を発行して税収不足を補ってきたため、日本の政府債務残高は世界最悪の水準に膨らんでいる。
2013年度末の政府債務残高の対国内総生産(GDP)比率は227%となる見込みで、第二次世界大戦末期の1944年度の204%(当時は対国民総生産=GNP=比)を上回る。
海外主要国の債務残高(対GDP比)は、米英が109%、イタリアが143%などとなっており、80年代以降、一部の新興国を除き、債務残高が200%を超えた国はない。
現在は、企業の設備投資向け融資や個人の住宅ローン金利は低いため、切迫感は薄いが、今後、経済が持ち直せば金利は上昇し、企業収益や家計を圧迫。景気を下押しするおそれがある。
また、金利上昇で国の債務残高に伴う利払い費が増え、世界3位の経済大国の日本の財政運営に対する信認が低下すれば、海外で国債の債務不履行(デフォルト)の懸念も強まり、世界経済の不安定要因となる。