同幹部によると、マレーシア政府から下りるはずだった海底の砂を取り除いて水深を深くする浚渫(しゅんせつ)工事用の予算3億5000万リンギット(約112億円)が凍結されるなど、民営化の停滞は同港の運営に打撃を与えている。
また、ベルギーの資源会社が6000万ドル(約62億円)の投資計画を取り下げるなど、外国からの投資にも悪影響が及んでいるという。
一方、同港の民営化はシーポート・ターミナルの経営者がすでに主要港タンジュン・プルパス港の運営を行っていることや、政府が入札でなく指名で運営会社を決定したことが不信を呼び、当初から反対も根強い。
同社が積極的な投資をするのではなく、ペナン港を「格下げ」して積み替え港とし、すでに拡張中のタンジュン・プルパス港よりも下位の港として利用しようとしているのではという懸念だ。
15年末に東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済統合を控え、今後、同地域は物流拠点を目指す競争が激化していくとみられている。マレーシアが官民一丸となって新たな競争に向かっていけるのか、各国の動向と合わせて注目が集まっていきそうだ。(シンガポール支局)